両国・もゝんじや

覚せい剤大麻所持で加勢大周容疑者逮捕。
ドラマ「キッパリ!!」は打ち切りを即決。
残りは前シリーズの再放送でしのぐことに。
不祥事発覚で現場に大きな波紋が広がった。


さて、両国の獣肉「もゝんじや」である。
江戸文化研究会季節の定例会である。
前回森下の「みの家」で馬肉を食い、
今回一歩踏み込んで猪肉に挑戦する。


隅田川にかかる大橋は「両国橋」と呼ばれる。
下総国」と「武蔵国」にまたがる橋である。
それがそのまま「両国」の町の名になった。
まさに両国橋の袂に「もゝんじや」はある。



店頭に剥製の猪がぶら下がっている。
知らずに見るとちょっとビックリする。
さすが猪をはじめとする獣肉自慢の店。



1階は帳場と厨房。2階が個室の並ぶ客席。
床の間に生け花を飾る。割烹のたたずまい。
畳に胡坐をかくだけで落ち着いた気持ちに。


客は私たちのほかに2組くらい。
うかがったのは九月場所の最中。
月曜日のせいかヒマそうだった。


煮込み
コースについてくる付け出し。
ネギたっぷり猪の濃厚な煮込み。



鹿刺し
珍しい鹿の刺身。
やはり馬に近い。
淡白で食べやすい赤身。



鹿竜田揚げ
コリコリとしてつまみに良い
コロモの厚い竜田揚げ。
鹿か馬か牛か猪か
一口では区別がつかない。



コースはこのあと猪鍋から熊汁へ。
各種獣肉が楽しめる「野獣肉コース」。
他に一品料理なら鹿鍋、熊鍋もある。


単品は更に
鹿ソース焼き、熊ソース焼き。
鹿たたき、鹿しょうが焼き、
ヒレ肉網焼きなど盛りだくさん。


「猪にもヒレ肉があるんだ。」
などと変な所に感心させられる。


猪鍋
いよいよメインディッシュの登場。
一皿が一人前。200gくらいか。
味噌仕立てのだし汁でじっくり煮る。
煮れば煮るほどやわらかくなるとか。



途中でネギ、シラタキ、焼き豆腐
春菊を加えすき焼き風にいただく。
確かに良く煮えた猪はやわらかく
だしの味もしみて実にうまい。



創業は享保三年(1718年)。
今年で290年の歴史を誇る。
「もゝんじ」とは「百獣」のこと
四足の動物の肉を扱うのが由来。


もともとは漢方の薬屋だったが
薬として出した猪が人気を呼び
そのまま料理屋に転身したとか。


冷え性や疲労回復に効果があり
当時から庶民に人気の猪だったが
江戸時代は肉食が禁止だったため
「山くじら」と称して食べたという。


熊汁
これは話のタネに。
小ぶりの熊肉だが
やはり歯ごたえがある。



うどん
しめの一品。
だしがなくなるまで
良く煮込んでみたら
甘みがしみこんでうまかった。



50年働いているような仲居さんたち。
食べ方を丁寧に教えてくれていたが、
煮込み過ぎたうどんを見て眉をしかめた。


鍋だけでもかなりボリュームがある。
うどんを平らげるともう腹いっぱい。
猪、鹿、熊を食い妙に達成感がある。


その達成感をふところに携え、
江戸の粋人を勝手に気取って
腹ごなしにあたりを散歩する。


両国橋で隅田川を渡り、柳橋まで。
神田川隅田川に流れ着くあたり。
古い船宿が川沿いに点在している。
ちょうど屋形船が帰ってくる時間だ。



家やビルの風景は変わっても
川と橋の位置は変わらない。
江戸の様子を想像するのには
川沿いを歩いてみるのが良い。


「次の会は屋形船ですかね。」
「もう寒いかも知れませんね。」
あとは食い物と遊びの仕方で
江戸の粋人の足跡をたどる。


野獣鍋6,800円(税・サ別)。
食うだけで江戸の人になりきる。
もゝんじや
03−3631−5596