渋谷・萬安

「疑惑の銃弾・最終章」衝撃の結末。
三浦和義元社長の自殺により
幕引きとなった世紀の大事件。
最後まであまりにもドラマチック。


さて、渋谷の居酒屋「萬安」である。
内外の愛好家によるB級グルメの会。
財政難のためにC級グルメに降格か。


道玄坂を登り交番の角を右折する。
かつて花街として栄えた円山町だ。
突如として昭和の佇まいが現れる。
ここまで来れば神泉の駅にも近い。



円山町といえば三善英史である。
「円山・花町・母の町」である。


♪母になれても妻にはなれず
 小さな僕を抱きしめる・・
三善英史の母は円山町の芸者。
彼女のことを歌った実話である。


水菜ポンズ
サッパリした前菜。
海苔との相性が良い。



厚揚げ焼き
居酒屋の定番メニュー。
期待を裏切らない一品。



「酒場放浪記」では取り上げたかな。
まったく何気なくそんな話をしたら
カウンターの先客の顔色が変わった。
良く見たら有名なTディレクターだ。


「萬安」は未だ取り上げておらず
まさに取材のお願いに来た所だと。
是非前向きにご検討いただきたい。


刺身盛り合わせ
真ん中が紀州のかじき。
その下がちぬ(黒鯛)、
時計回りに千葉のしめ鯖、
とびうお、さわらは岡山産。
スルメとイカは下田産。


安くてうまい刺身が最大の自慢。



たらかま
青森産の生たらかまを
揚げていただくことに。
焼酎が進む。



お店の始まりは大正9年に遡る。
置屋、待合、料亭が集まる三業地。
界隈に仕出弁当を卸したのが由来。


初代店長は名を萬吉と言った。
尊敬する実父安治郎の名前を
店の名に入れたいと思ったが
「安萬」では塩梅が悪かろうと
ひっくり返して「萬安」になる。


いつしか居酒屋となって90年。
店の建物も60年になるという。


ほうぼう
佐島産のほうぼう。
こちらもから揚げ。
顔はいかついけど
こんがり香ばしい。



から揚げ盛り合わせ
こちらはサービス。
たのんでない物が
出てくることがある。



トイレに行ったら
壁一面に酒のラベル。
貼るのはもちろんだが
これを全部飲むのも大変。



焼酎も日本酒も希望を言えば
合うものをすすめてくれる。
さすがに年季が入った対応。


焼き鳥
もも焼きを一枚。
食べやすく切って。
ジューシーなもも。
わさびか柚子胡椒。
どちらでもうまい。



店を預かる現在のご主人は
萬吉さんから数えて四代目。
私よりかなり若く腰が低い。
古い話も丁寧に答えてくれる。


暖簾を守る厳しさは感じさせない。
いかにも人のよさそうな笑顔だが
その目には誇りがあふれている。


「酒場放浪記の取材のほうも
是非よろしくお願いします。」
「三代目に聞いておきます。」
どこまでも正直な返事である。


渋谷の駅からふらふらと10分。
また放浪して来たくなる一軒。
萬安
03−3461−2611