鹿浜・スタミナ苑詳報

赤坂から電車とタクシーを乗り継いで1時間。
足立区鹿浜三丁目、「スタミナ苑」のある神明通商店街は
一昔前の日本に来たみたいな、懐かしい街並みが続きます。
4時半に着いたら先客が5名。ひなたぼっこ気分で最後尾に。



3月とはいえ夕方は寒さが残るこの時期
開店時にはすでに20人を超える行列が。
「今日はいいほうだよ。昨日は出足(開店時)で
いっぱいだったから。」
店主の豊島さん(弟)が並んでいる客に声をかける。


メニュー
脂が染み付いている。変えるつもりもないし必要もない。
BSE以降「刺身」だけは保健所がうるさいのでやめた。
ガムテで無造作に隠してあります。



ホルモン煮込み
昨日の残りのミノやシマチョウやハチノスが
たっぷり入った煮込みは、まかない飯である。
若い衆は開店直前にこいつとご飯をかきこむ。
濃厚なスープ。最後に一気に飲み干しました。



大根と牛スジの煮込み
これもオマケ。優越感を感じながら食う。
スジ肉が口の中でほろほろくずれる。



ミックスホルモン
本日のメインイベント。ホルモンのワンダーランド。
ゆめゆめ、「内臓」とひとくくりにすることなかれ。
レバ、センマイ、ギアラ、シマチョウ、コブクロ
色も形も味も違うそれぞれの部位が個性を主張します。



たまたま内澤旬子さんの快作「世界屠畜紀行」を読んでいます。
世界の屠場で取材した、牛や豚が「動物から食肉になる過程」。
動物を捌き、部位に分け、洗って肉にしてゆく職人の技。
ある意味で特殊な業務に携わる人々、そしてその心持ち。


人間が動物を食べるとはどういうことなのか。
示唆的でおもしろい。今日の気分にピッタリ。


世界屠畜紀行

世界屠畜紀行


あぶりレバ塩
チョコレートではありません。赤を通り越して紫色に輝く肝臓。
このままでは「レバ刺し」ですが、店は「あぶり」を推奨する。
生で食べて何かあったら、もやは客の責任というわけ。
「すごいレバ出すからね。必ずあぶって食べてね。」と店主は囁くが、
「すごいレバ出すからね。生で食ってもうまいよ。」と聞こえるのです。



センマイ刺し
キュウリとネギとあえてさっぱり。
これもメニューにない。
なにしろ「刺身」はないのですから。



上カルビ
今日はホルモンだけで攻めきるか、と思っていたら
「せっかくだから赤い肉食べましょうよ。」とS君。
「スタミナ苑」は豊島さんが兄弟でやっています。
兄がカルビ、ロースなど赤モノ担当。弟がホルモン。
この際、お兄さんにも仕事をしてもらおうという事で。



テグタンスープ
しめの一品。辛くない。溶き玉子がはいってむしろ甘い。
「テグタンスープ」と「生野菜」を注文する人は、
それだけで一見じゃないとわかる、とは店主の弁。



かなり飲みましたが、これでも一人5000円。
「たまに家族やカップルで、行列に並んでまでして
ウチで焼肉食って、それで高かったら申し訳ない。」
店主のこの気持ちがある限り、
スタミナ苑の行列が、絶えることはないのでしょう。