浅草・正ちゃん

噂のfacebookフォンがついに登場した。
台湾HTC社製のアンドロイド搭載携帯。
写真を撮ったり原稿をメモに書いたら
facebookボタンですぐにポストできる。


さて、浅草の煮込みの店「正ちゃん」である。
浅草寺に向かって仲見世の左側の筋を入る。
やがて伝法院通りにつき当ってさらに左へ。
その先は居酒屋がスズナリで昼から大賑わい。


煮込み通りとかホッピー通りとか呼ばれる。
煮込みともつ焼きの店ばかりが並んでいる。
その中でもなるべく評判のいい店を選んだ。
一軒だけ離れたところに「正ちゃん」はある。



パラソルとビニールハウスのたたずまい。
店舗と言うより屋台と言うほうが正しい。
隣がたまたま工事現場だったせいもあり
あたかも焼け野原に屹立するバラックかと。


店の中にも小さなカウンターはあるが
ここは頑張って外のテーブルに陣取った。
極寒のオープンテラスで昼からホッピー。
高揚感でむしろ体が火照ってくるようだ。


牛煮込み
ただいま夕方4時。
いい感じに仕上がった煮込み。



タマネギ、長ネギ、こんにゃく
とどめに大きな豆腐が乗る。
早く食べないと冷めてしまう。
できたてのアツアツをほおばる。



牛めし
牛煮込みをごはんにぶっかけた。
隣の客はこれだけ食って帰った。
ほれぼれするような男前のどんぶり。
あまり素敵だったので真似てみた。



「正ちゃん」は創業60年を数える老舗。
今の店の斜向かいで先代が開業したとか。
雷門の「松喜」で仕入れた国産の牛すじ。
煮込みのタレは当時から継ぎ足されている。


「伝法院」は「法を伝える」の名の通り
浅草寺につとめる僧侶の修行道場だった。
心字池で有名な庭園は寛永年間の名作。
現在は非公開で厳重に保存されている。


仲見世の賑やかな人ごみを抜けた一角。
浅草寺の中でも最も高尚な修練の場と
朝から飲める煮込み通りが背中合わせ。
さらに歩みを進めると場外馬券場に至る。


白滝煮
牛煮込みに白滝を入れた。
ここまで元は全部同じもの。



手羽先煮
これもまたうまい。
スルスルとほぐれる。
柔らかく煮た手羽先。



カウンターに何やら見覚えのあるものが。
きたなシュランのトロフィーが飾られる。
「牛だけでなく人情も煮込んでますね。」と、
石橋貴明をして言わしめたという名店だ。



ぜんまい煮
意外にも串焼きはなく
とにかく煮込みが中心。
ぜんまい煮もつまみにいい。



銀だら煮
恐ろしく柔らかく。
味もよくしみ込んで。
ここは本当に浅草の露店かと。



ほかにつぶ貝、冷奴、マグロブツ。
酒飲みの気持ちをわかっている。


やがて日が暮れて街灯が点る頃。
酒の火照りと外気の冷たさとが
懸命にバランスを取り合っている。
これ以上いると風邪をひきそうだ。


3人で6000円くらい払ったのか。
昼酒の罰などが当らないように
今日は浅草寺にお参りして帰ろう。
正ちゃん
03−3841−3673