築地・はなふさ

TBS株主総会で、買収防衛策の導入案が
圧倒的多数で可決されました。
三木谷社長らを取締役に選任するなどの
楽天の株主提案は否決されました。


さて、これまでochyの日記に
数々のネタを提供していただいている
「居酒屋の権威」Tさんの新ネタです。


そもそもメールでご案内をいただいた際、
「坂南料理の築地・はなふさをご紹介します。」とある。
「坂南料理?聞いたことないぞ。ネットでも出てこない。」
こんな店を知っているなんてさすがTさん!


お会いして早速
「坂南料理って何ですか?」とうかがったら、
「私、そんなこと書きました?」と逆に怪訝な顔。
よくよく聞いたら、
「さかなの料理と書いたつもり」だと。
Tさん得意のワープロ誤変換でした(笑)。


「坂南」ならぬ「さかなの」はなふさは
築地本願寺から隅田川方向に少し歩いた住宅街にある。
戦前からの建物も残る、静かで落ち着いた地域。
手前は居酒屋「亀屋」、次が玉子焼きの「渡辺商店」、
三軒目が目指すはなふさである。



10人くらいのカウンターと、5、6人の座敷。
厨房はご主人と板前さんの二人で仕切る。
カウンター横に、無造作にメニューの短冊が。
この中に今日のおすすめがまぎれこんでいる。



イカかつおのお造り


イカ日本海から。
かつお三陸沖を北上中、太平洋上の金華山でとれた。
築地の市場をバックに控え、さすがに素材は豊富。



あじのあぶり


小田原産の豆あじ
「今日のはちょっと大きくて、
あじというより小あじですね。」
とご主人が申し訳なさそうに言う。
酒の肴にピッタリな当店の名物だ。



生くじら刺し


近海もののミンクくじら。
身がしっかりして型崩れしない。



ご主人はもともと築地の生まれで、
若い頃は神楽坂の洋食「田原屋」で修行したとか。
かつては神楽坂の顔とも言うべき名店だったが、
2002年に暖簾を下ろし、今はもうないそうだ。


店の場所は地元の同級生(2階に住んでいる)に借りた。
「同級生は何をされているんですか?」と聞いたら
「下田でサーフィン。たまに2階でものを書いている。」
「それで生活できるんですか?」
「できるみたいですね。」なんとうらやましい築地暮らし。


京かぶとがんもの煮物


こんな上品なメニューもある。
築地の居酒屋の底力を感じる。



さばのへしこ


福井や石川など北陸地方の名産品。
一年間しっかり糠に漬けたさばを、大根と一緒に。
塩分過多かもしれないが、間違いなく酒はすすむ。



新じゃが塩ゆで


冬場の新じゃがはもちろん北海道産。
春先から九州のものが出て、
季節とともに中国・四国、近畿、東海、関東へと北上する。
桜前線ならぬ、じゃがいも前線と呼ばれる。
全農さんの番組を担当していたUくんのウンチクである。



「今日のはどこのじゃがいもですか?」
「長崎産です。」
「ん?ちょっと遅いな。
じゃがいも前線は静岡くらいまで来ているはずだが。
ま、うまいからいっか!」


合鴨のつくね


マスタードをつけて。
隣に外人さんがいてうまそうに食っていた。
頼んでみたら抜群にうまかった。
串系のメニューはこれくらいしかない。



白えびの唐揚げ



富山湾の白えび。
「唐揚げにするのはちょっともったいない。」と、Tさん。
でもうまいからやっぱり許しちゃう。


北海道産毛がに


「帰り際、店も終わり頃にいよいよ頼んで値切る。」
これがTさん流。
確かに短冊にもかにだけ値段が書いてない。



興がのれば、甲羅に日本酒を入れてかにみそ酒に。
こんなことしてるからいつも飲みすぎる。



かつては近くに電通さんの本社ビルがあって、
昼も夜も打ち合わせの人でにぎわった。
汐留に移転してから客足が遠のいたと嘆く。


「築地の市場が豊洲に行ったらまた打撃ですね?」
と聞いてみたら「そっちはそうでもない」と。
店は豊洲に移しても、会社は築地に残す人が多いとか。
お客としてもそれはありがたい。
築地には、まだまだがんばってもらいたいのである。


店を出て、酔い覚ましに隅田川沿いの公園へ。
男3人で夜風に当たるのも、なかなか・・。



しめの「和風オムライス」もおおいに気になったが、
あきらめざるを得ないくらいに、おなかいっぱい。
焼酎一本あけて3人で15,000円。
がんばれ、築地!


はなふさ
電話03−3546−1273