三軒茶屋・寅々

世田谷の東京電力の鉄塔(高さ50メートル)で、
助けを求めていた女性が夜中に警察に保護された。
一時送電をストップする騒ぎになったという。
何を思って50メートルの鉄塔に登ったのか?


さて、大阪からやってきた取締役のT田さんは
現在、三軒茶屋で気ままな一人暮らしである。
今日は評判のジンギスカンに連れて行ってくれるとか。


駅から10分、栄通り商店街をほぼドンツキまで歩く。
ほとんど住宅街に入りかけたビルの地下1階に
「本格ジンギスカン・寅々」はあった。



店内はサッパリとして、清潔感があふれる。
女性にも喜ばれそうな、明るい雰囲気だ。
コンセプトは「ごちそうジンギスカン」。
オーストラリア直送の上質のラム肉を、
サッと焼いてあくまでも上品にいただく。




T田さんに大阪の話など聞きながら
2、3つまみを頼んで焼酎を飲む。
らっきょうのキムチ
これは名案。酒が進むし体にも良さそう。



焼きトウモロコシ
炭火で焼くと、トウモロコシもうまい。



ラムフィレのたたき
塩、わさび、柚子胡椒。くさみ全くなし。



「寅々」のママは寅年らしい。しかも元専業主婦。
子供が大きくなって手がかからなくなった頃、
北海道で食べたジンギスカンの味に感動し、
東京でこれを味わいたいと一念発起して出店した。
同い年のお仲間がいて、ふたりで「寅々」と名のった。


ジンギスカンセット


奥がリブロースと肩ロース。手前がフィレ。
野菜もついて一人前1575円。
「ごちそうジンギスカン」とは言ってもお手頃。



とにかく焼きすぎず、レア気味でいただく。
ママやスタッフが食べごろを取り分けてくれる。
ところがT田さんはかなりのウェルダン好きらしく、
その肉をまた鍋にジュージュー押し付けていた。



ここは、あの焼肉の「牛角」が1号店を出した場所だとか。
その縁起のよさも、場所を決めるポイントになったと言う。


「客層としては、駅まで歩いて電車で帰るより
店の前でタクシーを拾う人が多い」と読んで、
駅から少し離れた場所をあえて選んだそうだ。
なかなか細かいマーケッティングなのである。
もっとも、私たちは行きも帰りも駅から歩いたわけだが。


ラムがかたづくと、スタッフがスーッと寄って来た。
「かきとかお好きですか?
メニューには載せていないんですが、
実家から送ってきた岩がきがあるんですけど。」


「実家どこ?」
「大船渡です。岩手の。」
これは耳寄りな情報だと思い、早速発注する。


生岩がき


見よ!この豊満な身を。
しかもクリーミーでうまい。



ジンギスカンの後にかきをいただけるなんて得した気分。
余韻覚めやらず、お会計。
焼酎をかなり飲んだのと、肉の追加や単品がかさんで
3人で26000円。
それなりの「ごちそうジンギスカン」ではあった。


2軒目は、246と世田谷通りの間の通称「三角地帯」。
うらぶれた飲み屋街にある、ご機嫌なカラオケスナック。
その名も「ドリーム」。



70年代、80年代の名曲を3時間歌い続ける!
カラオケ1曲200円、全部で9000円だったから
45曲歌った計算になる。
何かがたまっていたのか、3人とも。


出色はT田さんの「正調・大阪で生まれた女」
BOROのドキュメンタリーを撮っていた
あるディレクターの方の直伝だそうだ。
改めて名曲であることを思い知らされた。



若者向けの飲食店と古株の屯する飲み屋。
古くて新しい街、三軒茶屋の夜に
なおも歌声がこだまする・・。
寅々
03−5431−7289