立石・宇ち多``

世界陸上大阪大会がいよいよ明日開幕!
世陸はテレビでゆっくり楽しみましょう。


「居酒屋の権威」Tさんに、かなり前から
「今度は立石ですからね。」とバミられていた。
「新橋や隅田川あたりをウロウロ飲み歩き
居酒屋通のつもりでいい気になっていたが、
初めて立石に来た時には思わずひれ伏した。」
とはTさんの弁。



めざすは京成押上線立石駅、すぐ脇の仲見世商店街。
戦後の闇市からそのまま商店街になったものらしい。
夜はまるでゴーストタウンのようなアーケードだが、
「立ち喰いの栄寿司」や「ホルモン串焼きのミツワ」
など、知る人ぞ知る名店がひしめくという。



伝説のもつ焼き「宇ち多``」。
一部熱狂的なファンがファンサイト「宇ち入りクラブ」
ファンブログ「宇ち中(宇ち多``中毒)」を運営している。
底知れぬパワーを感じます。



5分くらい行列に並んだ後、案内されて席へ。
とにかく客の回転が速いので、多少の行列は大丈夫。
ファンサイトで、注文の独特の符丁を勉強したつもりが
スタッフの勢いに気圧されてうまく注文できない。


「レバ、ナマで。」
「いくつ?」
「う〜ん、3つかな?」
「あと煮込み」
「いくつ?ふたつでいい?」
「はい。」
「焼きは?」
「え?」
「焼きはどうする?」
「う〜ん、シロ、ガツ、カシラ。」
「じゃ、ガツとカシラは塩で、シロはタレでいいね?」
「は、はい。」


結局ほとんど決められてしまった(汗)。
もつ焼きはシロ、レバ、ガツ、ナンコツ、
アブラ、ハツ、カシラ、ツルの8種。
焼き方は塩、タレ、素焼き、ミソ、ナマの5種。
さらに焼き加減と、酢を入れるかどうかの選択。
注文の仕方はほぼ無限にある。


上級者ならたとえば、
「カシラ素焼きのわか焼きお酢入れて」とか、
「アブラ少ないとこミソでよく焼いて」とか、
複雑な発注が可能になるのだ。


レバナマ
新鮮なレバ、食感がたまらない。



煮込み
ショウガもネギもコンニャクも入っていない。
もつ100%の煮込み。タレよりも具をいただく感じ。



早い時間に来れば、ハツモト(動脈)やフワ(肺)、
さらにホネ(あご)などの希少部位が入っていて、
それを指定して頼むこともできるらしい。


Tさんが隣のお兄さんに話しかけた。
30半ばくらいか。一人で来ている。
「よく来るんですか?」
「私はこの1年くらいですかね。
生まれが葛飾で、うちの親父もよく来ていました。
でも酔っ払って帰ってくるので昔は大嫌いでした。
ある時ふと気になって、一度入ったら病みつきに・・。」
「今もご近所で?」
「今は千葉なんです。東京の大田区に職場があって
帰りに立石で途中下車して、一杯やって帰るんです。
結局、昔の親父とおんなじですよ。」


焼酎の梅割り
焼酎に梅シロップを少しだけ入れる。
サッパリして飲みやすい。



「写真とか撮ってて大丈夫ですかね?」
隣のお兄さんに聞いてみる。
「こっちのソウさんはやさしいから大丈夫。
でもあんちゃんサイドだと怒られるかも。」


サイトによれば「ソウさん」は「チーフ」のこと。
どうやら「チーフ」と「あんちゃん」の二人で、
受け持ちのエリアを分けているようだ。
ソウさんサイドで良かった。


ガツ塩、カシラ塩
ガツは胃袋、歯ごたえがある。
カシラはこめかみの辺り。肉汁が染み出る。



シロタレ
シロは小腸。勝手にタレにされたが、
確かにタレがからんだほうがうまい。



時間とともに品切れの部位が増えてくる。
ナンコツ、ハツ、ツル(おちんちん)が終了。
早い時間なら、タン、コブクロ、テッポウなど
スペシャルメニュー」も楽しめるという。


「立石にはほんとにうまい店がたくさんあります。」
隣のお兄さんが、だんだん饒舌になって来た。
「おすすめは中華の『蘭州』。水餃子が抜群。
駅の向こうの飲み屋街にもいい店がありますが、
どうやら再開発の話が進んでいるらしいんです。」


シロ素焼きお酢
Tさんが精一杯常連風の注文をした。
お酢の風味がシロにとても良く合う。



アブラ塩
背アブラのところだが、くどくない。
隣のお兄さんによれば、私たちが初心者と見て、
「アブラ少ない所」と、注文してくれたらしい。
荒っぽいように見えて、実は細やかな接客。



「お店の中は確かに雑然として、騒がしいのですが、
その騒音のレベルが一定で、秩序があるのです。
お客にもそれを守り、楽しもうという気持ちがある。」
さすが「居酒屋の権威」Tさん、言うことが哲学的だ。



一定の喧騒、一定の秩序。
お客は小一時間で店を出る。
行列ができてもすぐに回ってくる。
それがまた一定の秩序につながっている。


私たちも入店から45分でお会計。
3人で2890円!
焼きは結局8皿、煮込み2皿、梅割り5杯、
サイダー1本とお新香1皿。
どれも170円だから17ヶで2890円。単純な話だ。


隣のお兄さんの話が気になって、周辺を散策してみる。
駅の向こうには居酒屋好きが泣いて喜ぶ名店が並ぶ。


鳥房
半身の鳥唐揚げを豪快にいただける。



江戸っ子
「宇ち多``」同様、地元の人に大人気。



呑んべ横丁
お兄さんが言っていた飲み屋街。
確かにかなりくたびれた佇まい。
再開発の対象となるのもうなずける。



呑んべ横丁の脇にある、有名なゴミ屋敷。



どうして、京成押上線立石駅のまわりだけ、
こんなにもディープな街が出来上がったのか?
考えても理由は見つからない・・。


さらに今夜はまだこの続きが!
居酒屋の権威Tさんと懲りない面々。
2軒目をめざして京成線のホームへ。



この続きはまた次回!


どこまでも不思議な街、立石。
電車を乗り継いで、また来たいと思った。
宇ち多``
03−3697−5738