鶯谷・鍵屋

400メートルハードルの為末に続いて
走り幅跳び池田久美子も予選落ち!?
暗雲垂れ込める世界陸上日本選手団
室伏のハンマーで、ガツンと挽回だ!!


さて、「居酒屋の権威」Tさんに連れられて
目くるめく居酒屋紀行、いよいよ後半です。
葛飾区立石がある意味異端の極みとするならば
これからご紹介する店は、逆に典型的な正統派。


鶯谷の鍵屋は創業なんと1856年。
現在の店は大正元年に建ったものだが、
言問い通り沿いにあった最初の建物は
江戸東京たてもの園に保管されている。
もはや世界遺産級、これぞ老舗中の老舗である。



「江戸時代、酒の醸造所、問屋、小売店には
居ながら酒を飲む一角が必ずありました。
それが居酒屋の始まりです。」
話し好きな六代目のご主人が説明してくれた。
昭和に迷いこんだような店内は雰囲気が抜群。



板に書かれた味のあるメニューや、



レトロな看板が往時の雰囲気を醸し出す。



お通しはところてん。冬場は煮豆になるらしい。
Tさんは煮豆を期待していたようで軽く落胆?
腹は一杯だが、せっかくなので酒と肴を注文。


冷奴
ショウガとシソとネギで。木綿ののど越し。
豆腐は別腹か?あっさり平らげられた。



うなぎのくりから
こちらはこってり。香ばしくで酒がすすむ。



Tさんも実は3年ぶりの来店だそうだ。
その頃はまだ先代のおかみさんが健在で、
鍵屋の伝統をかたくなに守っていたらしい。


例えば女同士はご法度で、すぐに追い返された。
その後、若おかみが外まで追いかけていって
「すいません。そういう決まりになってまして。」
と、他の客に見えないところで頭を下げたとか。


時代が下って物事は段々に合理的になる。
8時閉店が9時過ぎても入れるようになり、
日曜日を休むようになったのも最近のことだ。


とり皮やき
立石の宇ち多``とは両極端をなす、上品な串。



うなぎの肝焼き
これまたこってり。そろそろ腹にこたえる。



六代目はもともと普通に会社勤めをしていて、
先代に呼び戻されて店主になった脱サラ組だ。
今ではすっかり酒屋の主人が板についている。


ご子息の七代目は大学院で経営学を勉強中とか。
もしかしてMBAでも取得しようというのか?
結果、鍵屋の主人になればそれはそれでアリかも。


しめに鍋を、と聞いたら今日は終わってしまった。
「あったかいものだったら味噌おでんか、湯豆腐。」
と言われ、この際だからと両方お願いする。
あれ、満腹だったんじゃないのか?


味噌おでん
こんにゃく、ちくわ、豆腐。素朴でうまい。
酒の肴というよりは、おやつみたいである。



湯豆腐
シンプル・イズ・ベスト。
飾りのない分、豆腐とかまぼこの実力が出る。



遅い時間になると、にわかに年輩のカップルや、
近所からふらっと来た風のお客が増えてくる。
特別なことではなく、酒と肴を楽しむために・・。
大人の店だ。



お勘定はトータルで7000円あまり。
1軒目と同様割り勘にしようとしたら、
「うちはいつも来る人に払ってもらう。」
と六代目が言うのでTさんにゴチになった。


煮豆のお通しと、鍋をいただけず、Tさんの結論。
「鍵屋は冬来るべし。」
鍵屋
03−3872−2227