神田・新八

ギョーザによる中毒問題の波紋が広がる中
公式報道の対応が遅く、情報も乏しい中国では、
ネットの掲示板等に日本側に反発する書き込みや
反日感情をあらわにする記事が出回り始めている。


「日本のメディアによる中国ギョーザの攻撃だ。」
「そもそも日本人は抵抗力が弱いのではないか。」等。
毎日通勤の時、麻布の中国大使館の前を通っているが
今のところ平穏である・・。


さて、神田の老舗居酒屋「新八」である。
日本酒と上質の肴のラインナップが充実し、
居酒屋というにはやや高めの値段設定だが、
それでも予約したほうが良いという人気店。



間口は狭いがうなぎの寝床のように奥深い。
2階、3階に座敷や個室も用意されている。
予約した7時の時点では、ほぼ満席の盛況。


燻製盛り合わせ
手前から牡蠣、味噌漬け豆腐、鳥ささみ。
酒のつまみにもって来いの珍味である。



冷やしトマト
こういう直球を試して、店の実力を見る。
そんなことを言いながら発注しておいて
トマトの産地を聞くのも忘れてしまった。
かためで若々しくフレッシュなトマト。



今夜は、珍しく大学の後輩と。
ひとりは同じ会社なのでよく会う人。
いつものようにご亭主と一緒。
もうひとりは3年ぶりに会った人。


実は私たち、学生時代同じ劇団に所属し、
スタニスラフスキーがどうした。」とか
唐十郎特権的肉体論がなんだ。」とか
日々、部室や劇場で青臭いことを言っていた。


3年前は中村勘三郎が十八代目襲名の折、
浅草寺での「お練り」の取材でバッタリ。
彼は今、大手S竹で演劇の仕事をしている。
学生時代の志を全うする、尊敬すべき後輩。


ブリ大根
よく味がしみてうまい。



あぶりしめ鯖
流行の「あぶり」は若者向きかと思ったら
こんな老舗にも浸透していた。



牡蠣フライ
おおぶりの牡蠣が4つ。
卵が多めなタルタルで。



久しぶりに会うとやはり、
「アイツどうしてる?」という話になる。


当時、劇団で座長と呼ばれていたM先輩は、
ク・ナウカシアターカンパニー」を立ち上げ
昨年、「SPAC静岡県舞台芸術センター」の
芸術総監督になった。実に立派な演劇人である。


わが社には演劇青年や映画青年くずれが多く
私の入社後、我々の劇団から4人も入って来た。


「メディアは変われど、志は変わらず」
機会がある度に、自らを正当化する毎日、
皆様、いかがお過ごしでしょうか?


くじら竜田揚げ
衣の中に、結構肉厚なくじらがおさまっている。



江戸前穴子白焼き
わさび醤油でサッパリと。



のど黒塩焼き
本日のおすすめ。
ホクホクとうまい。
魚はどれも素材が上質だと思う。



神亀
料理のメニューも膨大だが、
圧巻はやはり日本酒の充実ぶりだ。
とりわけ、知る人ぞ知るブランド
神亀酒造」の酒はすべてそろう。



せっかくなので今日は「神亀」しばりで、
店員さんのアドバイスを聞きながら選ぶ。
以下その変遷。


最初はあっさりと
「小鳥のさえずり純米吟醸酒
鳥取県田中農場無農薬米使用」

牡蠣フライや竜田揚げなど
揚げ物に負けない強さの
「ひこ孫純米3年熟成酒」

独特の製法を楽しむならと、
「槽しぼり純米無濾過生原酒」
「槽しぼり」とは古くからある絞り方で、
とにかく柔らかい味わいが出るらしい。

そろそろちょっとくせのあるものを
「ひこ孫純米吟醸3年熟成酒」
前のひこ孫と微妙に違うわけである。

最後に残ったのど黒にあわせてサッパリと
「純米ひやおろし


他に昭和54年の古酒などもあり多彩。
こうなるともはや店員さんはソムリエ。
しかもいつも料理の内容を意識して選ぶ。
ワインで言うところの「マリアージュ」。


程よく飲み、程よく昔話をして満足する。
尊敬すべき後輩は、演劇の製作とともに
最近になって会社の管理職も命ぜられたと。
土日も年末年始もないという激務が心配だ。


君はもう志を貫いているのだから、
程よく仕事すればいいと、私は思う。


店員さんはとてもていねいだったが、
忙しさで充分対応できずかわいそう。
お通しがあらかじめ出ていたのが残念。


酒も肴も最上級だが、
居酒屋でひとり八千円をどう考えるか。
新八
03−3254−9729