神田・いせ源

朝青龍は帰ってきました!」
決定戦で白鵬を降し完全復活。
文句のつけようのない大活躍に
国技館も拍手を惜しまなかった。


さて、神田の老舗「いせ源」である。
江戸文化研究会年頭の会である。
天保元年(1830)の創業以来
江戸庶民に鮟鱇の味を伝えてきた。


空襲を逃れた神田の連雀町あたり。
車の多い靖国通りから一本入ると
江戸時代に迷い込んだかのようだ。



昭和5年に建てられた現在の店舗。
東京都歴史的建造物になっている。



古くからの飲食店が集まっている。
そばならまつやかかんだやぶそば
鳥鍋のぼたん、甘味どころ竹むら
喫茶ショパンに西洋料理の松栄亭。


かつては大きな繁華街だったよう。
行商人が背負う荷籠の連尺が由来。
この辺りの住人が後に三鷹に移り
上連雀下連雀という町ができた。


煮こごり
典型的なプリン体
尿酸値が上がる。
うまいものは体に悪い。



きも刺し
濃厚なあん肝。
また尿酸値が上がる。
もうどうにでもして。



とも和え
煮込んだ身を
肝と味噌で和える。
絶妙のマッチング。



唐揚げ
脂っこい衣に
案外淡白な身。
その落差がいい。



年末年始の出来事を語り合う。
泉岳寺近くに住む研究会々員氏。
初めて師走の四十七士にお参りし
人の多さに忠臣蔵の底力を見たと。


話は何故か大河ドラマにおよぶ。
歴代大石内臓助を誰が演じたか。
勘九郎もやった、緒形拳もやった、
待てよ江守徹もやってなかったか。


その時の吉良上野介は誰だった?
あるいは徳川綱吉は誰だったか?
唐揚げを頬張りながら話に花が咲く。


鮟鱇鍋
本日の主役の登場。
ご覧のように具だくさん。
いせ源の鮟鱇鍋の特色だ。



ぎんなん、しいたけ、きくらげ。
しゅんぎく、しらたき、うど。
焼き豆腐にきぬさや。
それぞれに鮟鱇を引き立てる。



甘辛く濃い味の割り下。
病みつきになるうまさ。
のどが渇き思わず酒が進む。
オリジナル焼酎の「いせ源」。



初物を食べると寿命が七五日延びる。
江戸時代から「初物七五日」と言った。
とりわけ11月の鮟鱇は人気があり
「霜月鮟鱇絵に描いてでもなめろ。」
と言われるほどの引き合いだったとか。


鍋をおかわりして
4人で6人前をたいらげる。
シメのおじやもしっかりと。



翌日件の会員氏からメール。
歴代忠臣蔵の配役一覧表が。
江守徹は75年元禄太平記
吉良は小沢栄太郎、綱吉は芦田伸介


緒形拳は82年峠の群像
吉良は伊丹十三、綱吉は竹脇無我
勘九郎は99年元禄繚乱
吉良は石坂浩二、綱吉は萩原健一


昭和5年から変わらぬ佇まい。
座敷でつつく肴は上等の鮟鱇。
大河ドラマの話がよく似合う。
いせ源
03−3251−1219