赤坂・かさね

イラン大統領選後のデモで銃殺された
「少女ネダ」の映像が今週大きな話題に。
残酷な画像はその後反政府派に共有され
抗議行動の重要なモチーフになっている。


携帯のカメラで撮影しYoutTubeを介して
またたく間に世界中に配信された映像は
新しい市民ジャーナリズムの象徴にも・・。


さて、赤坂の割烹「かさね」である。
宮崎料理をベースに高級和食を出す。
雑居ビルの3階までエレベーターで。



カウンター数席と個室がひとつ。
広い店ではないが今日は我々だけ。
手の込んだコースが繰り出される。


先附け
ヒメタケノコと
ヤングコーン。
あぶった白イカ



皮をむき塩でいただく。
あぶった薫りがプンと。
どこまでむくのか少し悩む。
コリコリとした食感が堪らない。


コーンの先のヒゲのような
モシャモシャも食べられる。
言われるがまま食べてみる。
あまりうまいものではない。


祝肴
四万十の稚鮎。
能登の本もずく。
あさりの時雨煮。
エビの上の青色は卵。


たたきゴボウの酢漬け。
ゴマの風味もする。
真タコと沖縄の四角いインゲン。
この一皿にどれだけ手がかかるか。



全体に味付けが濃く
特にゴボウなどは
素材が立たないのが残念。


お碗
じゅんさいと小柱のワサビ和え
想像以上にピリッと辛い。
合わせるのは時鮭の寿司。



時鮭は5月から7月海で獲る。
この時期の旬の食材である。
ちなみにガリは自家製。


ご主人は近くの赤坂「魚山亭」出身。
13年前に独立してこの店を出した。
今日も一人厨房で黙々と腕をふるう。
板さんは寡黙と相場が決まっている。


女将の他に若い女性シェフが一人。
調理もするしフロアで接客もする。
面白がってレシピを質問すると
あわててご主人に聞きにかえる。


前菜
梅雨穴子のあらい
穴子も梅雨から盛夏が旬。



赤いのは寒造里(かんずり)。
唐辛子を3年寝かせて作る。
新潟県特産の香辛料だとか。


お造り
梭子魚(かます)。
脂が乗ってうまい。
アオリイカの胴と耳。
イカの頭のひし形を耳という。



手前は山わさび
北海道産の和風の西洋わさび?
緑色はアイスプラント
最近流行のミズナ科の野菜。


歯ごたえがあって塩味がする。
実は塩分を自分から隔離して
表皮に付着させる習性がある。


それがキラキラと水滴のよう。
それでクリスタルリーフとか
ソルトリーフなどと呼ばれる。


今日一番の発見と誰かが言った。
いい意味で予想を裏切るうまさ。
何もつけずにしょっぱいのは驚き。


炊き合わせ
鱚(きす)のしんじょう仕立て。
イカの白子とウニ。
白い粒はゆりの花。
緑はウリの雷干し。
ウリの皮を桂むきにして軒先に吊るす。
その形は雷の稲妻のようにジグザグに。



女性シェフの困る顔が面白くて
レシピの質問はエスカレートする。
「寒造里ってどこのもの?」
アイスプラントって何?」
「雷干しってどうやるの?」


質問すると丁寧にこたえてくれる。
忘れないように後輩にメモさせる。
一皿ごとに喧々諤々である。


焼き物
四万十の稚鮎の風干し。
顔がグロテスクだが
こらえて頭から食う。
こらえた甲斐あってうまい。


ソバージュアスパラガスの炒め。
ソバージュヘアのように波打つ。
ソバージュヘアのソバージュは
もともと「野性的」なという意味。



ご飯
冷や汁
ご存知宮崎の郷土料理。
季節の魚をすりつぶして
焼き味噌を作り出汁でとく。


それを麦ご飯にかけていただく。
見た目ではわからない手間がかかる。
味噌汁をただぶっかけるのではない。
宮崎は暑いのでキュウリを必ず入れる。



香の物は坊ちゃんかぼちゃ。
手の平サイズながら
甘くて栄養価が高い。
そして加賀太きゅうり。
柔らかく日持ちが良い。


水物
丹波の小豆。
抹茶豆乳を固めたもの。
さっぱりしてうまい。



宮崎料理の範疇にはおさまらない。
初めて食べた食材がいくつもある。
ご主人の知識と創造力にまず拍手。


しつこく質問してすいません。
それでもいやがらず教えてくれた
女将と勉強家の女性シェフにも拍手。
かさね
03−3589−0505