四谷・ととや

覚せい剤所持の疑いでついに起訴。
酒井容疑者が酒井被告に変わった。
昼間のワイドショーばかりでなく
ニュース番組でも広い面積を占める。


覚せい剤中毒の恐怖と蔓延の実態。
芸能界麻薬汚染と入手ルートの謎。
プロダクションの責任と管理体制。
話題は尽きずただ広がるばかりだ。


さて、四谷荒木町の居酒屋「ととや」である。
四谷の方から入ると車力門通りの一番奥。
ドンキーや寿司金など有名店が並ぶ一角。
店構えの割りに赤提灯が大きくて目立つ。



長いカウンターとテーブルが3つある狭い店。
間をかき分けるようにして奥のテーブルへ。
6人の大所帯だったのであらかじめ予約した。
6時前とあってまだまばらだがじき満席になる。


煮物盛り合わせ
煮物と刺身は「盛り盛りで」
本当は選びたいところだが
店の面倒も考えて遠慮した。


ぜんまい、厚揚げ、
ししとう、小芋。
煮込み具合が色に表れる。



刺身盛り合わせ
トロ、赤身、白身
とり貝、ホタテ。
湯葉が添えられているのがうれしい。



居酒屋通のTプロデューサーを囲む会。
いつもながら感心させられる店の選択。
チェーン店や歴史のない店は入らない。
それしかなければ我慢するのだと言う。


荒木町に店を出したのは1972年。
同じ通りのもっと四谷寄りにあった。
破れ提灯に使い込んだ古いカウンター。
今にも倒れそうな風情ある店だったとか。


数年前に場所を変えて新店舗になった。
外観の変化を惜しむ人は少なくないが
酒と肴が変わらないから客はついてくる。
気づけば満席で飛び込みの客を断っている。


きんぴら
ごぼうもにんじんも
ザックリとおおぶり。
良く味がしみこんでうまい。



牛すじ煮込み
下に豆腐が隠れている。
すき焼きに似た甘いだし。
ご飯が欲しくなるような
濃い味がまたたまらない。



惣菜は大皿でカウンターに並べられる。
そのようすがまた客の目を楽しませる。
ご主人のトミさんがせっせと仕事する。



店内はほとんど禁煙になっているので
愛煙家はその都度店の外へ出て一服する。
それもこの店ではおなじみの光景だとか。


江戸時代は松平摂津守の広大な屋敷だった。
明治維新後は風光明媚な庶民の憩いの地に。
大正から昭和初期にかけて花街として栄えた。
荒木町に風情のある古い店が多い理由である。


大小さまざまな路と坂が入り組んでいる。
その路は昔から猫が多く猫路と呼ばれた。
猫の後を追うように細い路地を曲がると
新しい店が見つかりそうでワクワクする。


津の守横丁から曲がりくねった車力門通り
隣の柳新道通り。その向こうの杉大門通り
道が変わればそれなりに良さげな店が続く。
四谷荒木町はどこまでもふところが深い。


判助さば
判助は小名浜の干物のブランドらしい。
身が厚く大きくてよく脂が乗っている。
6人とも一口食べてはうまいとうなる。



ぎんだら
口の中でホロホロと。
時間をかけて焼きあげた魚。
待った甲斐があったと思う。



Tプロデューサーは実はこの9月から
箱根の保養所の寮長さんになるという。
風貌も嗜好もはまりすぎていて笑える。
東京の居酒屋と箱根を行ったり来たり。


焼酎の四合ビンが空いて河岸を変える。
6人で勘定はピッタリ18,000円。
Tプロデューサーの選択に間違いはない。
次回の店は箱根で相談することにしよう。
ととや
03−3357−3319