渋谷・萬安ふたたび

タイガー・ウッズが1日だけの来日。
成田GCでジュニア選手と対戦した。
若いゴルファーに貴重な体験を残し
世界選手権出場のため上海に旅立った。


さて、渋谷の老舗居酒屋「萬安」である。
道玄坂を登りきった右側のホテル街。
男同士では実に歩きづらい道を抜ける。
やがて神泉駅前商店街に出てホッとする。


前回からおよそ1年ぶりの再訪である。
そのくらいの時間経過では揺るがない。
築60年の含蓄ある建物が迎えてくれる。
この辺りには古くて由緒正しい店が多い。



入り口に「本日貸切」との札がかかる。
確かに予約したはずだがと不安になる。
中に入ったら席は無事確保されていた。
予約で一杯の時飛び入りを断る方便だ。


1階にカウンター、テーブルと小上がり。
2階にも座敷があり貸切りができるとか。
外から見たら今日は灯りがついていた。
時々氷や水のおかわりをたのむ声がする。


お通し
レンコンとニンジン。
キンピラ風の甘い煮物。
合わせてあるのはお麩。



前回この店で「酒場放浪記」のスタッフと遭遇。
取材許可の交渉を後押しするも結局断られた。
今回隣の席は某民放系の通販会社の人らしい。
帰るまで大きな声で話せず少しだけ窮屈だった。


春菊胡麻和え
さりげない一品。
体にやさしい肴。



うるめいわし
味がしみた干物。
ことのほかうまい。



お店の始まりは大正9年に遡る。
ここはご存知渋谷の花街円山町。
置屋、待合、料亭が集まる三業地。
界隈に仕出弁当を卸したのが由来。


開業の時分の通りと建物の写真。
土の路地と平屋の家並みが続く。
大正時代の渋谷の様子をうかがう。
大事そうに額の中に飾られている。



刺身盛り合わせ
岡山の赤貝
島根のぶり
愛知のとり貝
川津のあいなめ
下田のするめいか
神津島のあかいさき
神奈川松輪のしめさば



刺身自慢ぶりが良くわかる。
質量ともに圧巻の刺し盛り。
とりわけ松輪のしめさばは
しめているのにフレッシュ。


4代目に当るご主人は若くて謙虚。
暖簾を守りながらもえらぶらない。
奈美悦子似のおかみさんも優しい。


リクエストには何でもハイハイと。
くだらない質問にも笑って答える。
常連さんに可愛いがられる秘訣だ。


ぶりかま焼き
骨のまわりをしゃぶる。
それだけで何故か幸せ。



手羽焼き
塩胡椒で少し辛めに。
つまみに最適な手羽



ふぐ皮ポン酢
酒飲みにはこたえられない
絶妙のラインナップである。



飲んで食べて4人で17500円也。
2万円を切ってあらためてビックリ。
90年店を続ける秘訣かも知れない。


終わりごろ2階の客が降りてきた。
見たところ平均年齢は70歳以上。
自分の親の世代に礼を尽くす主人。
90年店を続けるもう一つの秘訣か。
萬安
03−3461−2611