曳船・三祐酒場

絶好調の宮里藍が今週も首位に立った。
LPGAツアーHSBC女子選手権3日目。
J.インクスターに並ぶ通算7アンダーで
開幕2連勝に向け最高の位置につけた。


さて、曳船の居酒屋「三祐酒場」である。
ご想像のとおり鐘ヶ淵からのハシゴだ。
東武伊勢崎線で鐘ヶ淵、東向島曳船
浅草に向け都心に戻る位置関係である。


駅周辺は大規模再開発がまさに進行中。
暗闇に浮かぶ巨大な高層マンション群。
白い塀に囲まれた建築前の広大な更地。
別の星に紛れ込んだような幻想的な光景。


ここに老舗の居酒屋があるとは思えない。
絶望的な気持ちで辺りを尋ね歩いていると
再開発から取り残された一区画が現われる。
古いアパートや大きな銭湯が続く街並み。
どこか懐かしい風景の中にその店はあった。



1階は10人ほどのカウンターとテーブル。
2階もあるというのでなかなか大きな店だ。
「アラカン」世代のおかあさんが4、5人で
カウンターの中で忙しそうに働いている。


お通し
アサリのおすまし。
ダシが利いてうまい。



ポテトサラダ
居酒屋の定番。
ジャガイモの形が残る
素朴なポテトサラダ。



煮込み
名物と評判の煮込み。
コクのあるスープに
具だくさんがうれしい。



焼きアサリバター
これまたスープがうまい。
最後の一滴まですする。
全体に共通するダシの味。



おびただしい数のメニュー。
無造作に短冊が貼られている。
話しかければ実に愛想が良く。
注文をすれば実に手際が良い。
下町のおかあさんの魅力全開。



焼酎ハイボール」は焼酎のソーダ割り。
「焼酎白ハイボール」はカットレモン入り。
実はこの店が「酎ハイ」の元祖だと言う。
ウィキペディアで「酎ハイ」を引いてみる。


(要旨)しだいに経済が復興しはじめると
ウイスキーを炭酸で割った「ハイボール」が
都会のサラリーマンの間で人気を呼んだ。


貧しい下町の庶民にはなかなか手が届かず
下町(城東:京成電鉄の沿線)のある飲み屋が
焼酎を炭酸で割った「焼酎ハイボール」を出し
人気を博してたちまち全国に広まったという。


「酎ハイ」と愛称されそのまま飲まれたほか
梅味やブドウ風味や「元祖酎ハイの素」など
さまざまな味のシロップを混ぜて飲まれた。


ご存知のとおり曳船には京成曳船駅もある。
「三祐酒場」のことだと考えて間違いない。


カキフライ
焼酎もいい加減に回って
もはや何を食べてもうまい。
いやシラフでもうまいはず。



たらこ煮付け
煮込みや煮付けの類は
例のダシが利いている。
ホッとする味わい。



創業昭和2年というから80年を越える。
鐘ヶ淵の「はりや」よりさらに古い歴史。
もともと酒屋の横で酒や肴を出していた。
今も隣は酒屋なので地酒の種類が豊富。


自力で航行できない船やいかだを引くこと
またはその船のことを「曳舟」と言うわけで。
この辺りを「曳舟川」という川が流れていた。
今は暗渠になっていて由来は想像できない。


利根川を源流として埼玉と東京東部を流れ
やがて隅田川に流れ込む葛西用水路の一部。
そもそも二つの大きな川にはさまれた上に
運河や用水路が縦横に走る水の街である。


ヤリイカ刺身
歯ごたえのあるイカ
まぶしい白さが見事。



にらたま
さらに酒もお代わりを重ねる。
2軒目も後半で酔いがまわる。



これだけ品数豊富な居酒屋が
近所にあったら毎日でも通う。
お勘定はやはり4人で8,000円。
一体全体どういう計算なのか。


同行したY君は店に携帯を忘れた。
洗足の家から翌朝もう一度曳舟へ。
「隣の酒屋に預けておくからね。」
おかあさんはどこまでも優しかった。
三祐酒場
03−3611−9801