品川・あかねや

「フジテレビのローソンに青酸カリ」
サイトに書き込みをした男を逮捕。
1時間半営業を止めて店内を捜索。
青酸カリの混入は確認されなかった。


さて、品川の老舗居酒屋「あかねや」である。
いつの間にかビジネス街になった品川港南口。
未来的な高層ビル群に取り残された街がある。
おなじみの品川駅港南口商店街の一角である。


迷路のような繁華街に今日も身を委ねる。
目指す店を探して心当たりの路地に入る。
なぜか何度も同じ場所に出てきてしまう。
時間と空間が交錯するメビウスの輪か。



小さな店が多い中2階建ての立派な店構え。
1階はテーブルとカウンター2階は座敷だ。
金曜の夜でもあり座敷まで満員の大盛況。
商店街の狭い路地にも酔い客があふれる。


夥しい数のメニューが壁に貼られている。
酒場放浪記のポスターも埋もれていた。
吉田類さんも訪れて絶賛した店である。



お造り
ウマヅラハギを選ぶ。
カワハギに似てコシがある。
安いぶん味が劣ると言われるが
ちょっとしたつまみにはこれで十分。



アサリとキャベツ炒め
醤油が実に香ばしい。
酒蒸しもバター焼きもあるが
庶民的な味わいはキャベツ炒め。



トマトと玉子炒め
こちらも当店の名物。
トマトの甘味と玉子の酸味。
お互いを引き立てる傑作だ。



そもそも芝浦の食肉市場が目の前にある。
まわりは焼肉やホルモンの店がほとんど。
あかねやも先代は煮込みと焼きとん中心。
二代目が一念発起して独自路線を打ち出す。


食肉市場に行かず築地で食材を吟味する。
創作意欲にあふれ新メニューを続々開発。
外食の時も常に料理に注意を払うという。
迷路のような街で奮闘する真の料理人だ。


気がつくと満員の客が一気に引けた。
港南口商店街の夜は意外に早いのだ。


中国人と思しき美人のお姉さんが
たどたどしい日本語で注文を取る。
「食べ物のラストオーダーは?」
聞いた注文を手のひらにペンでメモる。


イワシフライ
もちろんアジフライもあるが
目についたイワシフライをたのむ。
歯ごたえも柔らかくなかなかの味わい。



あなごの玉子とじ煮
普通の居酒屋にはなかなかない。
ましてここは品川港南口である。
味付けもしっかり抜群の出来だ。
二代目のエヘン顔が思い浮かぶ。



1時間あまりの滞在で二代目の志にふれる。
5品がどれもオリジナリティーにあふれている。
2人で8000円の勘定は安すぎるとさえ思う。
残念なのはホッピーを置いていないことか。
あかねや
03−3471−0489