麻布十番・ラ・ブリアンツァ

世界バレーで32年ぶりのメダル獲得。
眞鍋監督のデータバレーが実を結んだ。
朝からテレビのワイドショーに出ずっぱり。
秘密兵器のiPadにとって良い宣伝になる。


さて、麻布十番のイタリアン「ラ・ブリアンツァ」である。
地下鉄1番出口を出て「鳳仙花」の横を抜けて1分。
もう街のはずれだがこんなエリアにも有名店が並ぶ。
尻尾まであんこがつまった鯛焼きのような街である。



20人も入れば一杯になる小じんまりした店。
白い壁に白いテーブルと白い椅子がまぶしい。
カップルか女子だけの客がほとんどとは思うが
一組だけおじさん3人連れがいて異彩を放つ。


熟慮の末にシェフのおまかせコースを発注する。
主菜の前にパスタを含む前菜が6皿組まれる。
シェフのイタリア郷土料理に対する造詣の深さ。
知識と技術に裏打ちされた自信満々のコース。


フォアグラとジェラート
フランス産のフォアグラ。
バニラの濃厚なジェラート
アツアツと冷え冷えが混ざる。
油断していると一発でやられる。



生牡蠣のカルパッチョ
宮崎産の大ぶりの生牡蠣。
奥にあるのは一片の松茸。
レモンをギュッと絞って
ホースラデッシュとともに。



ひと皿目もふた皿目も
食感の違う二つの食材を
あえて一緒に楽しむぜいたく。
組み合わせはシェフのアイデア


「ラ・ブリアンツァ」は新緑という意味。
輝く緑の木は店のロゴマークになった。
ミラノ郊外のブリアンツァ地方の意味も。
豚や淡水魚を使った郷土料理が多い。


小さい店なりのアットホーム感たっぷり。
調理の合間にシェフがしばしば出てくる。
ワインのサーブもするし料理の解説もする。
何を聞いてもしっかり答えてくれて心強い。


水牛のモッツアレラのカプレーゼ
しっかりとした噛みごたえで
存在感たっぷりのモッツアレラ
付け合わせは生ハムとサラミで。



フィノキオ(フェンネル)の香りたっぷり。
トスカーナ原産のサラミ・フィノキオーナ。


その昔盗人が市場でサラミを盗んで
たまたまフィノキオの木の下に隠した。
その香りがサラミの味にとてもよく合い
それ以来トスカーナの人に好まれたとか。


もうひとつはカポコッロの生ハム。
カポコッロは首から肩の上の肉を使い
コッパとも言われる甘口風味の生ハム。
いずれもシャルドネにぴったりの逸品。


フィノキオーナとかカポコッロとか
聞きなれない名の食材ばかりだ。
私があんまり何回も聞き返すので
シェフが紙に書いて教えてくれた。


秋トリュフのオーブン焼き
出された白い容器の中味は
半熟卵の入ったグラタン風。



その上にフレッシュなトリュフを
極薄にスライスしてふりかける。
味と香りと食感を一度に楽しむ。
自慢のピエモンテスペシャリテ



ポルチーニのタヤリン
めずらしい細めの卵麺に
こちらもこの時期大量入荷
今旬のポルチーニ茸をぜいたくに。



タラバ蟹のリゾット
さっぱりめのリゾットに
肉厚のタラバ蟹の足。
味も香りも見た目でも
そろそろおなか一杯に。



代官山で何年か店を開いていたという。
「若い人が多くて夜は意外に早い。」
「結果的には根づきませんでしたね。」
反省の弁を述べてシェフが苦笑いする。


「それに比べて麻布十番はやりやすい」と。
お客さんが美味しいものを理解してくれる。
遅い時間まで年配の客で大いににぎわう。
男性客の中では私など若造の部類である。


栃木和牛のタリアータ
主菜の選択肢はほかに
鱸、蝦夷鹿、シャラン鴨、
白金豚に鶉と多彩である。
「今日はいい和牛が入ってます」
シェフの一言で迷いなく決めた。



熱心なシェフはブログやツィッターもやる。
アカウントは@youchishanである。
フォローすると食材の入荷情報など
リアルタイムにお店の様子を知れる。


すすめられるままに飲んでいたら
いつの間にかシャルドネが空いた。
追加でグラスワインを2、3杯で
すっかりいい気分になって店を出る。


シェフのコースは5、500円から。
コストパフォーマンスはかなり高い。
ちなみに道に面してガラス張りなので
お忍び使用にはあまり向かないかも。
ラ・ブリアンツァ
03−5440−8885