代々木上原・ピャオシャン

タイの大洪水がさらに深刻な事態に。
アユタヤ県で工業団地5か所が冠水。
ソニー、日産、ホンダ、キヤノンなど
日系の被害企業は300社を超えた。


さて、代々木上原の中華「ピャオシャン」である。
JASRAC古賀政男音楽博物館の大きなビル。
もともと作曲家古賀政男氏のお屋敷があった。
井の頭通りをはさんで向かいのビルの地下1階。



オープンしてまだ5、6年の新しい店は
4人がけのテーブルが5卓でいっぱい。
キャパが小さいので予約が取りづらい。
食通のO社長とっておきの新ネタである。


お通し
大豆の香料煮という。
ほんのりと甘い香りに
ほのかな味わいがいい。
料理への期待がふくらむ。



冷菜七種
右手前から反時計回りに・・
クラゲとセロリのマスタードソースがけ
四川名物よだれ鶏は注文必須の絶品
くずイモのオレンジと甘酒シロップ漬け
牛ハチノスと豆鼓(トーチ)ソース和え


左の鉢は蒸し茄子とピータンと唐辛子
すりこぎで黒酢ソースと混ぜて食べる
さらにアオリイカの四川グリーンソース
最後はカシューナッツのスパイス絡め



細かく切った野菜やスパイスと和え
手の込んだソースとともにいただく。
それぞれの食材を引き立たせる工夫。
その成果で辛さや油は気にならない。


伊勢エビ
大皿が運ばれると歓声が。
伊勢エビのさっぱり炒め
青山椒と唐辛子ピクルス。
見た目ほどしつこくない。



厨房は中国人かと勝手に想像していたが
シェフの井桁良樹さんは純粋ジャパニーズ。
しかも今年40歳という気鋭の若手である。
上海、四川で修業した後ここに店を持った。


「飄香」と書いて「ピャオシャン」と読む。
頭に「老四川」をつけて「老四川飄香」とは
「昔からの歴史を重ねた四川が漂い香る。」
四川料理の真価は辛さでなく香りだという。


ラムチョップ
牧草でなく穀物で育てた
特別なラム肉は柔らかい。
唐辛子を外して食べれば
やはり辛さは気にならない。



小さなタロイモ入り蒸しパンを
皿のソースにつけてまた良し。
群馬県産の食用のほおずきは
皮をむいて生のままいただく。


バナナの小豆挟み揚げ
ザクロとミントとともに
まわりの飴にからめて
冷水につけてかためる。
お菓子のような口直し。



スッポンの四川煮込み
石川小芋とプチニンニクとともに
真っ赤なソースに浮かぶスッポン。
ご覧のとおり一見グロテスクだが
拍子抜けするほどあっさりとうまい。



天府の国「四川」 神から与えられた地「四川省


食在中国 食は中国にあり
在味四川 味は四川にあり
香在飄香 香りは飄香にあり
一菜一格 一つの料理には一つの品格あり
百菜百味 百の料理には百の味あり
原汁原味 多彩な味を生み出すには
       素材を知ることにあり


シェフの想いが詩に表される。


ひと口チマキと薬膳スープ
栗と金華ハムと豚肉入りチマキ。
香鶏と松茸と天麻の薬膳スープ。
伊勢エビとラムとスッポンを経て
すべての食材を呑み込んでひと息。



乳酸菌で漬けた自家製お漬物。
細かいところの工夫がうれしい。


デザート
2種類の杏子の核を使った
ぜいたくな香りの杏仁豆腐。



料理の見た目と味と香りを楽しみたい。
初めのうちは五感を研ぎ澄ませて臨む。
ビールワイン紹興酒と飲み進むうちに
その感覚が失われてゆくのもまた楽しい。
ピャオシャン
03−3468−3486