外苑前・アクアヴィット

早実広島新庄に7−6で競り勝った。
2安打1打点の活躍を見せた怪物清宮は
「甲子園は楽しい。不思議な力がある」
と相変わらず大物らしい堂々のコメント。


さて、外苑前の北欧料理「アクアヴィット」である。
「北欧料理」というジャンルはこの日記では初めて。
銀座線の外苑前、伊藤忠横の出口から徒歩1分。
レクサスのショールームの奥に忽然と威容を現す。



ビルの車寄せと一体化したモダンなデザイン。
美術館のような一棟がまるごと「アクアヴィット」。
中はダイニングとバーに別れトータル122席。
レイアウトにも余裕を感じる贅沢な空間である。


アミューズ
牛肉のパテ、タラのカルパッチョ
キノコをソテーしたデュクセル。
丘と海と森の食材を少しずつ
それぞれに趣の違う香ばしさ。



マッシュルームをたまねぎやエシャロットなどと
バターで炒め水気を飛ばしたペーストのことを
どうやらフレンチでは「デュクセル」と言うらしい。
デュクセル侯爵のお屋敷のシェフが開発したとか。


冷たい前菜
自家製ニシンの塩漬けは
ライ麦とひまわりの種と
ゴマとナッツのクランブルで。
手のかかりそうな一品である。


もうひとつは鯖のスモーク
生クリームを発酵させた
クレームエペスのソースで。
複雑な味わいを楽しみたい。



アクアヴィット」はニューヨークが1号店である。
昨年はミシュランの2つ星を獲得したという。
7年前にストックホルムと東京店がオープン
東京でここまで本格的な北欧料理は珍しい。


サケやニシンなど北洋の魚のイメージが強い。
「バイキング」も語源からして北欧由来だろう。
実はトナカイやザリガニも普通に食べている。
当店でも8月後半はザリガニフェア開催中だ。


温かい前菜
帆立貝とキクイモのバターソテーに
そら豆と赤ビーツとスモーク香るホエー
食感の違う品々が小さな器に凝縮される。



日本ではまだまだなじみのうすい北欧料理だが
コペンハーゲンのレストラン「Noma」が評価され
「世界のベストレストラン」で度々1位になるなど
にわかに世界のグルマン達の注目を集めている。


綺麗な水、新鮮な魚、ジビエや森の恵み
豊かな自然に育まれる食材を大事にする。
盛り付けや食器のデザインにも気を配るなど
最近は「和食」との共通点を指摘する声も多い。


魚料理
鱸のポワレ根セロリの塩釜焼き
鱒子、ディル、フェンネルを少し
スナップエンドウのピューレで
森の緑が海の幸を包み込むように。




真ん中でなく不自然に片側に盛る
何か意味があってのことだろうか。


肉料理
低温調理12時間のポークベリー
ポークブイヨンとバターのソース
発酵したラディッキオとソーセージ
スモークアップルピューレとともに。



意外に大きなポークの塊からは
噛めば濃厚なうま味が染み出す。


北欧は遥か彼方のイメージがあるが
例えば東京ヘルシンキ間は10時間
パリやロンドンよりもよっぽど近くて
ヨーロッパ各地への乗り継ぎも便利。


ところで店の名前の「アクアヴィット」とは
ジャガイモから作る北欧特有の蒸留酒
ハーブの香りと薬のようなクセのある味で
アルコール度数も40度を超える強い酒だ。


デザート
グレープフルーツとレモンのムース
パンナコッタとレモンタイムのソルべ。



豊かな食文化とともに酒好きで知られる地域。
ただし酒類の販売規制がたいへんに厳しい。
ビールはスーパーなどでも買うことができるが
度数の強い酒は専門店に行かないと買えない。


唯一デンマークだけは規制がゆるいようで
ノルウェースウェーデンからも買いに来る。
フィンランド人はフェリーでバルト海を渡り
対岸のエストニアまで酒の買出しに行くとか。


お茶とお菓子
コーヒーと5種類の紅茶に
目移りしそうなお菓子の数々
しぼりきれずついつい多くなる。





酒造会社のHPを見るのにも年齢認証が必要。
酒で痛い目にあった経験があるのに違いない。
それでも「アクアヴィット」の意味は「命の水」。
北欧人の酒への強いこだわりが感じられるのだ。


アクアヴィット
03−5413−3300