恵比寿・イワカムツカリ

宇良が横綱日馬富士を破り初金星
右腕をかかえてとったりを決めた。
「もうちょっと信じられないですね」
インタビューで何度も涙をぬぐった。


さて、恵比寿の和食「イワカムツカリ」である。
恵比寿会の例会は果敢に新しい店を開拓する。
明治通り沿いに古民家風の二階建ての一軒家。
季節には二階の窓から桜を間ぢかに楽しめる。



お肉は無薬飼育、お酒や調味料は無添加
店で作った自家製の発芽玄米を推奨する。
安心安全でしかも美味しい料理がモットー
優しくてじわじわと効いてくる和食の魅力。


磐鹿六雁(イワカムツカリ)は日本書紀に伝わる
第12代景行天皇の東国巡幸の折海路での故事で
ある時天皇の得た白蛤を膾にして献上したという
天皇はこれを誉め永く御食を共進するよう命じた。


季節の付出
自家製発芽玄米と
長芋の温かいスープ
長芋のサクサク感と
ユーカリの淡い味わい


前菜二種盛り合わせ
田舎風パテと
三色ミニトマトの甘酢掛け
パテのソースは結構辛く
ミニトマトは結構酸っぱい


お造り
本日のお造りひらめを煎り酒でいただく
煎り酒は酒を煮切った江戸時代の調味料
当時はそばも煎り酒で食べていたという


素材の味をさっぱり楽しむ江戸の知恵
和歌山や千葉など一部醤油はあったが
他のところではほとんど煎り酒だった
付合せの赤大根の芽の辛さが引き立つ。


焼酎
無農薬レモンをうかべて
焼酎の香りとうまく混ざる


小さな蒸し焼きウニ玉子
ホクホクうまい
想像通りの素朴な味


掛川完熟酵母豚サクとろ角煮
薬剤の代わりに酵母で育てた豚
かかっているのは自家製ふりかけ


肉は希少特選和牛「尾崎牛」
筑前秋月赤どり「古処鶏」
群馬「江原ハーブ豚みらい」
静岡「掛川完熟酵母豚」限定。


抗生物質も成長ホルモンも投与しない
無薬飼育にこだわるため品切れ御免だ。


江原ハーブ豚の葉衣しゃぶしゃぶ鍋
出汁は長野姥捨山のきのこ類
そこへ日本酒をたして味を調える


豚は江原ハーブ豚
野菜は冬わらべ
下仁田ネギと九条ネギ
あやめ雪カブ、ズッキーニ
スナップえんどう、はくさい
芯が赤い大根と山えのき



野菜は網の上で少し湯切りして
梅の香りの自家製煎り酒たれで
お好みで青唐辛子を加えるなど
優しくてしかも深い味わいは絶品


江原さんのハーブ豚は臭みもアクもない
脂も40度のお湯ですべて溶解してしまう
ピンク色に変わる頃にお湯からあげて
葉物の野菜などに巻いて一気にパクつく。


自家発芽玄米のおじや
日本一のこだわりの玉子という
煎り酒を作った時に漬けた梅干しと


玄米は富山県医王山麓で育った「医王の舞」
店内で22時間かけて自家発芽させたもの
すべての部分で栄養価が格段にアップして
中性脂肪を抑え肝臓や腎臓の働きを助ける。


ストイックな求道者のような営業方針である
流行を追う店の多い恵比寿で異彩を放っている
高級居酒屋を標榜し12歳以下の入店を禁じる
その姿勢が料理に表れていると思えるのである。


イワカムツカリ
03−6277−0248