麻布十番・エルブランシュ

コーラン焼却」騒動はギリギリで中止へ。
米同時テロから9年目の9月11日を期し
フロリダの田舎の教会で起きた今回の騒動。
大統領も巻き込んだ中止要請を牧師が受け入れ。


さて、麻布十番のフレンチ「エルブランシュ」である。
同じビルの最上階「アジルジョーヌ」に先日伺った。
同じ食材を上手に使って実にカジュアルに楽しめる。
以来行ってみたいと思っていた「本丸」にいよいよ。


駅から5分大丸ピーコックの向かいのビル。
5階が最初に店を構えた「エルブランシュ」。
上の9階に気軽な2軒目「アジルジョーヌ」。
実は4階の和風フレンチ「un十」も姉妹店。



広いスペースにテーブルが僅か4つ。
となりの席の話し声が気にならない。
カーテンの向こう側にはカウンター。
遅い時間にひとりで来る客もいるとか。


フォアグラ
メニューはシェフにおまかせのコース。
前菜の前に名物フォアグラの顔見せだ。
ひとかたまりがひとり分と聞いて驚く。
つけ合わせのイチヂクとともに厨房へ。



前菜
シャラン鴨のささみを生ハム仕立てで。
シャラン鴨はフランスシャラン地方産
飼育場所や方法など細かい規定がある。
宝石のようなフルーツとソースとともに。



スープ
特製冷たい桃のスープ。
コンソメジュレ
サマートリュフを添えて。
見ているだけで涼しくなる。



壁もテーブルも椅子も全て真っ白。
清潔感あふれる店は気持ちが良い。
お料理だけがしっかりと色を放ち
白いテーブルの上で存在感を示す。


スペシャリテ
とろけるようにポワレした
フレッシュフォアグラとイチヂクの
シェリービネガーソース。
自ら「魔法のフォアグラ」と呼ぶ。
小川智寛シェフまさに渾身の一皿。



フォアグラほどデリケートな食材はない。
油断すると文字通り脂がどんどん溶ける。
調理には注意と技術と方針が必要だとか。
ホームページで語るシェフは実にアツい。


普通は堅めのフロマージュ風にするが
輪郭を残し中をプリンのように仕上げる。
食感と味わいをともに楽しむ未体験領域。
作り方は仲間の料理人にも秘密だと言う。


魚料理
三浦半島のスズキと
モンサンミッシェルムール貝
ナージュ仕立て。
グリーンピースのピューレ
黒コショウとパルメザンチーズの
チュイルを添えて。



皿の上での奇跡的な邂逅。
日本の魚とフランスの貝。
奥深さは宇宙に匹敵する。


肉料理
マダムビュルゴーの
シャラン鴨のロースト。
6種類のスパイスと蜂蜜のソース
アンティチョークとかぼちゃのピューレ。



マダムビュルゴーは
プレミアシャラン鴨の生産農家だ。
当主が他界して奥様が継いでいる。
しめはガツンと食べ応えのある肉。


繊細な工芸品と力強いパフォーマンス。
アンジュレーション豊富なラインナップ。
小川シェフがテーブルにあいさつに来た。
思わず拍手をしてしまいそうになった。


ツィッターでこの店を知ったと話した。
「返信が早くて確実でビックリです。」
小川シェフは意外にも苦笑いしていた。
経理の担当者が一日中やってますヨ。」


デザート
アールグレイクレームブリュレ
紅茶の香ばしさが鼻に抜ける。



デザート
ほうじ茶のアイスとマンゴープリン
ブルーベリーとグレープフルーツの
ゼリーとともに。
ほうじ茶の味がちゃんとして面白い。



シェフのおまかせコース12,000円
コストパフォーマンスは高いと思うが
遅い時間にひとりで来るという客が
一体どんな人なのかぜひ見てみたい。
エルブランシュ
03−5439−4338