五反田・日南

角界大麻汚染で見解の相違。
精密検査でも陽性反応が出た。
にもかかわらず使用を否定し、
親方もその証言を支持すると。


如何なる証拠も効力なしという
あまりに前近代的な部屋の見解。
もう江戸時代じゃないんだから。


さて、五反田の名店「日南」である。
かれこれ3年くらいご無沙汰である。
駅前の古い店の集まる路地裏に
変わらぬたたずまいで建つ一軒。



薄暗い照明。重い木のテーブル。
著名人のサインで埋め尽くされた壁。
ひと昔前のジャズ喫茶に来たようだ。


ジャンルとしては居酒屋なのだろう。
イデアあふれる肉料理で知られる。
メニューをあけると牛肉で1ページ。
次をあけると豚肉でもう1ページ。


あとはサラダなどつけ合わせの類。
そして飲み物が淡白に並ぶだけだ。
夏場の間刺身がお休みなのが残念。


お新香盛り
スタッフがビールをこぼした。
たいした被害ではなかったが
サービスでくれた。ラッキー。



欲しいものをひととおり言ったら
「全部入れてコースにしませんか?」と。
たぶんかつてはなかったプレーである。
4000円で通すというので快諾した。


お刺身
シマアジとイシダイ。
魚もうまいので感心。



人気グルメ評論家の大谷浩己さん。
「東京最高のレストラン」の筆者。
「ワインと一緒に食べるとうまい店」
について書かれたものをかつて読んだ。


とどめに「日南」が登場する。
ところがそこにオチがあって、
「実は日南にはワインは置いていない。
この店でワインを飲むことが出来たら
どんなに美味しいことだろう。」だと。


これを読めば日南がさぞうまかろうと
とにかく容易に想像できるという名文。
今はワインも置いてあるのでご安心を。


ハラミ串
名物の多い店だが
これが一番だろう。
ひとり一本に限定。


上質でやわらかい。
脂身はほどほどに。
肉汁はたっぷりと。
肉の日南の真骨頂。



ナンコツ串
こちらは1日20本限定。
コリコリとした歯ごたえ。
軟骨を使った料理も様々。



無菌豚冷しゃぶサラダ
無菌豚のメニューも数多い。
日南のもう一つの柱である。
サッパリと食べるならこれ。



場末の貧乏居酒屋みたいな店に
なぜか有名人が好んで集まった。
ある人は壁にサインを書き残し
ある人は笑顔で写真におさまる。


トイレの壁にもたくさんのメモ。
有名人ばかりでなく一般の人も。
名前や会社、店へのメッセージ。
とにかく一言残したくなるらしい。


長年厨房でハラミを焼いていた
名物のおやじさんが亡くなった。
店をたたむのでは、と噂された。
それでも残されたスタッフが
がんばってその遺志を継いだ。


やがてトイレの壁のメモ書きは
はなむけの言葉で埋め尽くされた。
「さようならおやじさん」
「これからもここに来る」など。
熱狂的な常連客に支えられている。


テールスープのおじや
定番のメニュー。
スープだけもある。
ビーフシチューもある。
肉に関するものは全てある。



ナンコツカレー
是非たのみたい一品。
ルーの中にコリコリが残る。
辛口のカレーも大人の味わい。



世の要望に応えて置かれたワイン。
5人で2本いただいていい気分に。
セックス・アンド・ザ・シティーの話で
3時間あまり盛り上がってしまった。


コースにして効率的だが
ポーションが小さかった。
シチューもハンバーグも
少しだけ食べてみたかった。


5人で31500円。
得ととるか損ととるか。
おやじさんの冥福を祈るのみ。
日南
03−3449−4425