川口・興隆

高さ492メートル、地上101階。
森ビルの建設する通称「上海ヒルズ」。
ガラス張りの展望室などが公開された。
来年に向け90%超の入居を目指す。


さて、川口の焼肉「興隆」である。
肉を求めて隅田川を越え荒川を越え
ついに県境を越えて埼玉に突入した。


昨年鹿浜の「スタミナ苑」に行った折
赤羽駅からのタクシーの運転手の曰く、
「あの程度の店ならいくらでもある。
並んでまで食べるのは理解できん」と。


川口市屠畜場を中心に鳩ヶ谷、領家から
足立区鹿浜辺りには有名焼肉店が点在し
確かに「スタミナ苑」もそのひとつである。



それにしても「ザガット」のランキングで
かつて1位を獲得した名店をつかまえて、
「あの程度の店ならいくらでもある。」とは
どれだけ層が厚いのか、ということだ。


その一言が気になっていた美術のS君は
久々に赤羽のキャバレーハリウッドに行き
たまたま隣についたマコトちゃんに聞いた。
「スタミナ苑より美味しい焼肉屋?」


「川口の『興隆』じゃないかしら。
1階がお肉屋さんなので肉が新鮮。
ボリュームもたっぷりだし安いし。
予約できるから並ばなくていいし。」


その翌週早速地下鉄南北線に乗り
王子を越え赤羽を越え南鳩ヶ谷へ。


地上に出てみたが駅前はひっそり。
地図を片手に途方に暮れていると、
親切なお姉さんが声をかけてくれた。


「『興隆』だったら家の近くですけど
歩くと15分くらいかかりますよ。」
「『興隆』美味しいですか?」
「美味しいですよ。いいですね。」


一応タクシー乗り場をのぞいてみたら
我々を待っていたのか奇跡的に1台。
お姉さんに別れを告げて乗りこんだ。


1階が吉田食肉店。2階が焼肉店
3階は吉田家の住居だと思われる。



住宅地と言うより倉庫やビルが多く、
静まり返って少し寂しい感じがする。
さっきのお姉さんの家もこの近所だ。
一人で帰った彼女の安否が気遣われる。


場所がらか結構広い店だがもう満卓。
予約せず並んで待っている人もいる。
子供連れや大人だけのグループなど。
いずれにしても明らかに地元の人々。
近所で焼肉ならわざわざ予約しない。


今日の牛の個体識別番号が壁に。
カルビ、ロースなど部位別に。
さすが肉屋の2階。管理は万全。


ユッケ
HPのトップカットを飾る自信作
階下でさばいた湯気の出そうな刺し。



レバ
テカテカのレバ刺し。
くさみがなく美味い。



タン塩
「上か並か」と聞かれ
迷った結果「並」。


1人前6枚くらいと言うので
2人前お願いしたが、
どう見ても20枚くらいある。



厚切りでも薄切りでもない。
不定形のブツ切りのタン塩。
愛想はないが抜群に美味い。


窓際の席になんと旭天鵬がいた。
タニマチと若い衆と全部で6人。
左手にどんぶり飯を持ちながら。
席を立つとやはり異様にデカイ。


関取がわざわざここまで来るとは。
「興隆」の実力の一端を垣間見る。


気のせいか客がみな元気。
話す声も笑い声も大きい。
ハリウッドのマコトちゃんは
店のおばちゃんの愛想が悪いと。
でもそれもほとんど気にならない。


ミノとホルモン
さばきたての光沢。
焼いてまた歯ごたえ良く。
ウーロンハイのお供に。



カルビとロース
一応赤いところも。
どちらも並である。
カルビ2のロース2。
圧倒的な量と肉質。



タン塩同様無粋なブツ切り。
味と形は無関係と主張する。


来る道すがら
タクシーの運転手にも聞いた。
「『興隆』美味しいですか?」
「美味しいよ。人気もある。」


「他に人気のある店は?」
「いろいろあるよ。
鹿浜の『ホームラン亭』とか。
亡くなった前の総理が通った。」



亡くなった小渕恵三が通ったのは
鹿浜の「スタミナ苑」ではないか。
「ホームラン亭」で検索しても出ない。
運転手さんの記憶違いだと思う。


上タン塩
並があまり美味かったので。
さらにジューシーさが増す。



ユッケジャンスープ
シメの一品。
濃厚なスープ。
クッパにも出来る。



焼酎のボトルはないので
ビールとウーロンハイ。
これで4人で17,000円
交通費の元を取った気分だ。


「スタミナ苑」のような迫力はないが
肉の内容では一歩も引けをとらない。
「焼肉はとにかく仕入れ」を再認識。
良い肉を求めて北上の旅は続く。


興隆
048−225−2663

焼肉興隆 (焼肉 / 川口)
★★★★ 4.0