白金・金竜山

中日ドラゴンズが敵地福岡で2連勝。
プロ野球日本シリーズの意外な展開。
序盤のピンチに内川のバットにクレーム
落合監督の冷徹なオレ流采配が冴える。


さて、白金の焼肉「金竜山」である。
食べログでもザガットでも高得点だ。
一度行ってみたい焼肉店として有名。
7月に予約してついに今日を迎えた。


明治通りから光林寺の角を入り川を越える。
白金三光町に至る静かな商店街の片すみ。
広尾からも白金高輪からもそこそこ遠い立地。
それでもこのあたりなぜか有名な店が多い。



相変わらず店内は汚くて狭くて最悪の環境。
上着入れのビニール袋がせめてもの慰めか。
テーブルと小上がり合わせて18人で一杯。
早い時間と遅い時間の2回転が基本である。


上タン塩
肉のカットはとにかく大判薄切り。
早く焼けてたっぷりと食べられる。
血色のいいピンク色に見事な刺し。
乱暴にかけた塩胡椒が利いている。



中カルビ
肉質はいわゆる最高級のA5クラス。
カルビは並・中・上・特上の4種類。
おばちゃんは「並でもじゅうぶん」と。
ご覧の中カルビは他店なら特上級。



特上ロース
「上タン塩」「中カルビ」「特上ロース」
注文必須の金竜山の三種の神器
カルビかと見まごう究極の霜降り。
ロースの概念を変える特上ロース。



毀誉褒貶の激しい評判は昔から。
「最高にうまい肉に出会える。」
「日本一予約の取りづらい店。」
「店のおばちゃんの態度が悪い。」


おばちゃんは確かに無愛想だが
実はいつもテーブルに気を配り
こまめに網を変え皿を片づける。
時に甲斐甲斐しくさえあるのだ。


ワサビカルビ
定番に対してここからは変化球。
特上級のカルビをワサビ醤油で。
細やかな肉の味を引き出すワザ。
下世話な焼き肉が品格をまとう。



レバ塩
ホルモンも各種ある中からレバを。
軽くあぶって上質の食感を楽しむ。



豚バラ塩
辛い味噌とたっぷりのネギと一緒に
サンチュに巻いて手づかみで食べる。
あふれ出るような豚の脂の罪悪感を
青々とした野菜がきれいに洗い流す。



予約の電話をしてもいつも留守電で
メッセージが一杯で録音もできない。
気が向いておばちゃんが整理すれば
運よく電話で予約できることもある。


店の奥の壁に大きな日めくりがあって
それがいわば予約台帳の役割を果たす。
何ヶ月も先まで客の名前がビッシリと
余白がなくなるほど書きこまれている。


前回7月に来た時今日の予約を取った。
3ヵ月先でも4ヶ月先でもいとわない。
今日も帰りに次回の予約をお願いする。
それが最も確実に金竜山に来る方法だ。


ハラミ
ハラミ好きとしては一応押さえておく。
肉厚で食べ応えじゅうぶんの肉に満足。



野菜焼き
たまなのでできるだけ肉を食べたい。
アクセントをつけて野菜も注文する。
濃い味のタレは後半飽きてくるので
白いご飯でかきこむという人もいる。



ユッケジャンスープ
コムタンスープとカルビスープ
ユッケジャンスープを一杯ずつ。
ハーフもあるので種類を楽しむ
金竜山フルコースの食べおさめ。



帰りにおばちゃんが外まで見送りに来た。
「次はテーブルと小上がりどっちがいい?
前回小上がりで今日テーブルだったから。」
「落ち着くから小上がりでお願いします!」


4ヶ月前私が座った席を覚えているのか。
それとも帰った後メモでもしているのか。
いずれにしても印象に残る接客術である。
私の心はおばちゃんにワシヅカミされた。


金竜山
03−3446−8156