北千住・バードコート

法務省が、3人の死刑執行を発表し、
死刑囚の名前、年齢、犯罪事実を公表した。
「公表は時代の流れ」との見解が主流だろうが、
携帯メールで最初にニュースが送られて来た時に
実名が載っているのはやはり少し違和感があった。


さて、やって来ました北千住。
「食べると、焼き鳥の概念が変わる」
とまで言われた名店「バードコート」。


まさか無理だろうと思ったら、
S君の引きが実に強く、
なんと当日の電話で予約を勝ち取った。


古きよき「昭和」の雰囲気漂う
昔ながらの「宿場通り商店街」。
目指す店は思いのほかモダンな佇まい。



カウンターとテーブル2つだけの店内、
そこを通り抜け、奥の階段を下りて地下へ。
8人座れるちょっとした座敷にとおされた。


「オープンは1999年。今年で丸8年です。
ブルゴーニュの当たり年だから覚えてるんです。」
座敷担当のお兄さんは饒舌でとても鶏に詳しい。
我々の質問に一つ一つ的確に答えてくれる。


レバのパテ


お兄さんに聞いたおすすめ。
ワインを飲むなら欠かせない。



お刺身


これも是非もの。肉厚でうまい。
奥がササミ、手前がムネ肉である。



ナンコツ


抜群の食感。コリコリしてうまい。
1日2本しか出せないそうだ。



「1日2本だけ?」と水を向けると、
饒舌なお兄さんが、嬉々として答える。


「茨城の奥久慈軍鶏を使うんですが、
1日に9羽しか入れてないんです。
これはやげんと言って胸の軟骨で、
1羽からひとつしか取れません。
ご覧のように1本の串に4つ使うので
結局1日に2本しかお出しできません。」


「なるほど。」
立て板に水のような解説は続く。


「しかもやげんはオスからしか取れません。
奥久慈軍鶏は生まれてから、
オスは135日、メスは155日であげます。
メスのほうは成熟して硬くなっちゃうんです。」


「生まれてからそんなもんですか。」
ひとつ質問すると、すぐに返ってくる。


「これでも時間をかけているほうですよ。
地鶏だと、地鶏規定っていうのがあって
平飼い(平らな所で飼うことらしい)で70日以内。
ブロイラーは、餌をやるだけやって30日ですから。
軍鶏は、100日以上走りまわって
筋肉がしまっているからうまいんです。」


あまりの博識ぶりと、饒舌ぶりに一同圧倒される。
メモを取るのが忙しくてナンコツが食べられない。


ブルゴーニュ


ビールのあとは悩んだ末ワインにした。


串もの、一気に行きます。


わさび焼き



レバ





ツル


首の部分らしい。脂がのっている。



ソリ


モモのつけ根。皮付きのまま焼く。
歯ごたえがあってうまい。
さすがに135日鍛えられたモモ。



ソリレスと言う店もある。
語源はフランス語で「まぬけ」の意。
こんなうまいものを食べないなんて
実に「まぬけ」だということらしい。


単品は他に「ボンボチ」(尻尾、ボンジリ)
「ペタ」(尾羽のつけ根)などがあるが、
品切れだと。開店と同時に入ったのに?
ネタを予約している客でもいるのかしら。


ギンナン


焼き加減が絶妙。



キャンティ・クラシコ


スポンサーの顔色を見ながら決めた。
「2本目に、これですか?」
口には出さないが、饒舌なお兄さんが
ちょっと不満そうだった。


まだまだ食います。


つくね


軍鶏の有精卵と一緒に。
途中でパンを一切れくれる。
あまった黄身をつけて食べる。



まいたけ


立派。



ねぎま


ピンがあまくてすいません。



砂肝


ワインがまわってきた。



ハツ


これ絶品。ハツ好きにはこたえられない。



千寿ネギ


ねぎまのねぎがうまかったので単品で。
「千住」にちなみ埼玉で作られた特製。
糖度が17度あり、実に甘くてうまい。



この時点で完全に満腹だったが、
またいつ来られるかわからないので・・


親子丼


しめの是非もの。「雑炊」もある。
満腹なのになぜか食べられる。



プリン


同じ軍鶏の卵を使っている。
しっかりと中味が詰まっていて
玉子焼きを食べているかのよう。



帰りがけお兄さんに
「ブログどうやってみるんですか?」
と聞かれたのでタイトルをお教えした。
間違いや迂闊な記事は許されない状況。


「焼き鳥の概念が変わったか?」
と言われればそれほどではなかったが、
1本づつの串が実にていねいに作られ、
しかも一定の品格のようなものがある。


お兄さんの的確な解説のおかげで
上質のエンタテインメントとして
焼き鳥を楽しませていただいた。


こんなもんでいかがでしょう?
4人で35000円。価値は十分。
バードコート
03−3881−8818