巣鴨・加瀬政ふたたび

マスターズへの前哨戦が始まる。
石川遼が今週からアメリカ入り。
到着後そのまま練習ラウンドへ。
本番へ向け気合も体調も十分だ。


さて、巣鴨の割烹「加瀬政」である。
またしても一年ぶりの来訪である。
名物の鱈の鍋に照準をあわせると
どうしても2月頃になってしまう。


とげぬき地蔵通り商店街の夜は早い。
6時過ぎにはシャッターが閉まりだす。
加瀬政を訪れる頃は人影もまばらで
ゴーストタウンのような道をすすむ。


とげぬき地蔵尊高岩寺というお寺。
洋品店や雑貨屋などに軒を連ねて
まるで商店街の一員のような佇まい。


寺の一隅に「洗い観音」と呼ばれる
聖観世音菩薩像がひっそりとある。
明暦の大火で妻を亡くした檀徒が
供養のために寺に寄進したという。


この像に水をかけ悪い所を洗うと
たちどころに治るという言い伝えが
巣鴨詣での老人たちをひきつける。


何百年もタワシで洗われ磨り減ったため
現在の像は平成4年からの二代目である。
奥に見える店はカレーうどん古奈屋本店。



さらに1、2分進むと加瀬政に着く。
変らぬ店構えが私たちを迎えてくれる。
「いらっしゃい、今年もまた来たね。」



店もこの時期は毎晩満卓。
「2月中は予約で一杯だよ。」
「テレビの取材も入ってるし。」
オヤジさんの自慢話も恒例である。


最近はTBSの番組で
安住アナと綾小路きみまろが来店。
ランチの名物鴨丼をふるまったとか。


青森産の鴨肉と福井産の鴨の玉子。
大ぶりで青みがかった玉子を2個。
濃厚で滋味豊かな絶品親子丼である。


そんなテレビ取材をどんどん入れるし
うまいので客足が途切れることがない。
冬場の名物鱈のじゃっぱ鍋は争奪戦だ。



「これまでの鱈はなんだったんだろう?」
それほど衝撃的な鱈に出会うことになる。



中でも特筆すべきはこの白子。
ほとばしる生命力を感じさせる。
5秒から10秒でしゃぶしゃぶでいただく。
ホワホワと口の中にうまさと幸せが広がる。


一本釣りで10キロ以上のオスだけを
青森から毎日空輸で仕入れているとか。
それをさばいて、あら、白身、骨、白子
肝、胃袋にいたるまですべて鍋に入れる。


「じゃっぱ」は雑多なものすべての意。
「じゃっぱ鍋」は青森に伝わる郷土料理。
ポン酢でいただくので鱈本来の味も出る。


「来年も必ずまた来ます!」
「夏場も来てよ。桜鍋出すから。」
「確かにそうですね・・。」
そういいながら桜鍋が盛りの8月には
じゃっぱ鍋の予約が入りだすのが実情。
加瀬政
03−3918−1286