三宿・一隆

Googleの検索事業が中国からついに撤退。
「検索」と「検閲」の激しい攻防戦に幕引き。
時代のすう勢を見誤った中国政府の愚挙。
ネット空間に万里の長城は築けないのに。


さて、三宿の和食どころ「一隆」である。
食通で知られるMプロデューサーを囲む。
とにかくお詳しい方なので店選びに悩む。
今回はCS事業部S君渾身のセレクトだ。


世田谷公園にほど近い三宿のど真ん中。
オシャレな街並みにあって異彩を放つ。
三宿が今の三宿になる前からあったと。
そんな誇りと自負を感じさせる店構え。



大きなカウンターとテーブルと広い座敷。
つめれば80人くらい入りそうな大箱だ。
座敷は大人数の客で早くも賑わっている。
おばちゃんが一人で対応におおわらわだ。


新鮮な魚を安くたくさん食べさせる店。
できるだけ大勢で来たほうが楽しめる。
「前の日くらいから魚は避けてください。」
S君の忠告を素直に聞いてやって来た。


刺身盛り合わせ
まん中はもちろんマグロ。
手前右側から時計回りに
カンパチ、シマアジ、ヒラメ、
ブリ、ヒラマサ、そしてタイ。



試みに魚の名前をたずねたら
おばちゃんがスラスラと答える。
カンパチとブリは良く似ている。
それでも自信を持って言い切った。


ウニ
築地辺りでは当り前だが
三宿で箱入りのウニとは。
1500円、4000円、6000円。
今日は中を取って4000円のウニ。



見た目にも豪華な箱入り。
贅沢にヘラですくって食う。
こんなにも甘いものかと。
ウニ本来の味をあらためて。


Wikipediaによれば・・
この近辺には幕末の頃まで大きな池があり
「蛇池」や「龍池」などと呼ばれていたとか。
確かに近くには「池尻村」や「池沢村」など
池のつく村が当時から点在していたようだ。


今も国道246の北側には池状の低地があり
さらにその北側にちょうど「池ノ上」がある。
水と池と沼にゆかりの深い土地だったのだろう。
水の宿る「水宿」が転じて「三宿」になったとか。


お刺身から焼き物や煮物まで
おびただしい数のメニューが
短冊になって壁に貼られている。



おすすめを聞いたら本気で困っていた。
「全部おすすめなんですけど・・。」
仕方なくつまみになるものを見繕う。


あら煮
タレの味がしみてうまい。
骨までしつこくしゃぶる。
酒の肴にもご飯のおかずにも。



ヤリイカ焼き
たいそう立派なヤリイカ
これだけで満腹になりそう。
それでも決して大味でない。



うなぎ白焼き
フワフワのうなぎ。
口の中でとろける。
早めに食べたかった。



この町ならではのオシャレな若い客もいる。
かと思えばこの時間で子供連れもチラホラと。
隣はなんと10人ほどの中国人の大家族である。
子供は泣くはオムツは替えるはの大騒ぎだ。


その昔は焼き魚の煙漂う定食屋だったと。
サラリーマンやタクシー運転手が集った。
店を少し大きくしただけで何も変わらない。
まわりの街並みが勝手に変わっただけなのだ。


バブル期の外食ブームでファミレスが林立し
やがて「ゼスト」と「ラ・ボエム」が相次いでできた。
そこにオシャレな人が集まり三宿は変わったが
「一隆」の歴史に比べたら実に浅いものである。


隣の中国人がトランプで神経衰弱を始めた。
幼い兄弟がワイワイ言ってゲームに興じる。
確かに騒がしいが嫌なら来なければいい。
一応申し訳程度にこんな貼り紙があった。



本気なのかアイロニーなのか。
普通の店よりずっと騒がしい。
4人で2万円で魚をたらふく。
人数が多ければ多いほど有利。
一隆
03−3422−7055