新橋・鮎正

小倉キャスターが自身の発言で陳謝。
島田紳助さんの芸能界引退をめぐり。
暴力団を肯定するかのような発言で
ネット上などで批判が殺到していた。


さて、新橋の会席料理「鮎正」である。
言わずと知れた鮎の専門店なのである。
冬の間でも上等なカニやふぐを出すが
やはり夏の到来とともに鮎を目当てに。


新橋駅前の繁華街を抜けて数分歩くと
周囲の雰囲気とは一線を画する建物が。
創業40余年一昨年落成した新しい店舗。
飾り気のない玄関に店の意思が表れる。



鮎は島根の清流高津川の天然の鮎だ。
美しい水と苔で生育する清流の女王。
鮎のフルコースは東京では他にない。
創造力あふれる絶品の数々を一気に。


鮎の骨せんべい
どぜうとはわけが違う。
さすがに限りがあるので
予約の時お願いしておく。
ビールと一緒に出される。



お通し
子持ち昆布と豆腐
ベビーコーンなど。
鮎ははいってない。



お椀清水仕立て
鮎と大根のお椀。
お椀に収まる稚鮎。
澄んだつゆが美味。



鮎背越し
骨を抜いて輪切りにして
その形のままに飾られる。
ウリのような独特の生臭さ。
それが癖になるから不思議。



鮎塩焼き
ご存知鮎の塩焼き。
泳ぐような佇まい。
やはり蓼酢が合う。
頭からガブリと食う。



本店は島根の割烹「美加登家」という。
高津川のほとりで大正時代に創業した。
40数年前に分家する形で東京に来たと。
「鮎正」の女将と板さんは姉弟なのである。


「鮎と一緒に東京に運ばれてきまして。」
上品な女将は物腰も柔らかく丁寧だが
謙遜しているような彼女のその台詞には
ゆるぎない自信とプライドがみなぎる。


苦うるか
鮎の塩辛「うるか」のうち
内臓を使った特に苦いもの。
去年の鮎を寝かして使うとか。
酒の肴としてこれ以上はない。



うるか茄子
味噌田楽のようだが
味噌は使っていない。
うるかで煮込んだ茄子は
ほろ苦く奥深く舌に沁みる。



あとでご飯を少し入れて絶品。
このまま持って帰りたくなる。
製造方法は永遠の企業秘密だ。


鮎煮浸し風
個性の強いうるかのあとに
サッパリとした味で落ち着く。



鮎うるか味噌包み揚げ
うるかと味噌で包み揚げ
工夫にあふれた応用編。



鮎酢のもの
鮎の昆布じめはかなり酸っぱい。
アンジュレーションが利いている。



普通は食べながら近況など話すだろう。
気づいたら今日は鮎の話しかしていない。
それほどに情報が多く興味を引きつける。
魚だけでなく話題も鮎づくしになっていた。


鮎ごはん
鮎の香りがほのかに。
あくまでも上品な一杯。
ここまでのフルコースが
フラッシュバックする味。



水菓子
梅の入った氷菓
リフレッシュする。



泥臭いとさえいわれる川魚を
ここまで品よく仕上げる技量。
鮎だけでフルコースを構成し
なお飽きさせないその創造性。


駅前の居酒屋より大分豪華だが
たまにはこんな贅沢もいいかも。
鮎正
03−3431−7448