西麻布・おやじのせがれ

斉藤愛璃が開幕戦で初優勝の快挙。
ダイキンオーキッドレディース最終日。
一度追いつかれてプレーオフで勝利。
女子ゴルフに新たなヒロインの誕生。


さて、西麻布の焼肉「おやじのせがれ」である。
青山にある「おやじ」から暖簾分けされたとか。
西麻布から墓地下の手前の信号を右に入る。
新装なったフレンチの「龍土軒」が目の前に。



かつて炭火焼の「醍醐」があった場所。
業界のえらい人も使った重厚な高級店。
時代が変わり雰囲気も中味も変わった。
同じ「焼肉」なだけにあからさまな変化だ。


お通し
キャベツときゅうりを
味噌につけてガブリと。
おやじの店と同じ作法。
肉につけてまたうまい。



キムチとチャンジャ
箸休めを準備して
肉シリーズに突入。



初めに全部まとめて注文する。
硬いものから柔らかいものへ
味の薄いものから濃いものへ
順番はおまかせした方がよい。


シビレ
シビレとはいわゆる胸腺。
きれいに成形された肉が
火を通すことでバラける。
想定外のフワフワの食感。



ナンコツ
こちらは豚ののどナンコツ。
その形からドーナツと言う。
これが牛ならウルテとなる。



網の上でシュッと縮んだ。
想定外のコリコリの食感。
塩にカレー粉をくわえた
「カレー塩」がよく合う。



珍しくヒマそうにしているスタッフが
焼き加減など細かく見ていてくれる。
あるものは塩であるものはポン酢で
最適の食べ方で各部位と向き合う。


センマイ
今まで見たことない厚さ。
センマイは牛の第3胃袋。



噛むとザクザクと音がする。
脂が染み出て抜群にうまい。



ハツ
これまたぶ厚いハツ。
ゆっくり焼き上げる。



焼く前と後で印象が変わる。
想定外のレバのような食感。



ホルモン
ホルモンは小腸の部分。
味噌ダレでじっくり焼く。



ひとつひとつていねいに。
育てるように焼き上げる。
薄い皮だけがパリパリに。
柔らかい脂身はそのまま。



ひと晩に摂取すべき脂の限度を
ホルモンで軽々と超えて行くか。
タレと脂が誘う悪魔のささやき。
今夜も罪悪感にさいなまれるのだ。


ロース
150グラムの塊のままやって来た。
最も柔らかく最後に食べるべき肉。



六つの面を順番に焼いて行く。
それを待つのも楽しい時間だ。



これは即席のローストビーフか。
網の上が高級店の厨房に変わる。



生の肉も美しいが
焼いた肉も美しい。



出来上がりを皿に並べると
まわりの焦げ目の香ばしさ
中味のレア感とのギャップ。
しょうが醤油が引きたてる。



わかめスープ
しめはわかめスープで。
さっぱりと脂を洗い流す。



火鉢の炭火とモウモウとした煙と。
網目の焦げつきとしたたる脂身と。
目と耳と舌でどっぷりと肉に浸る。
ホルモンの進化を身をもって知る。


新装なった最古のフレンチレストランと
高級店跡に居抜きで入ったホルモン屋。
おそらく世界一のグルメ激戦区西麻布。
今夜もその歴史が塗り替えられてゆく。
おやじのせがれ
03−3405−2915