三軒茶屋・香辣里
大阪都構想のぜひをめぐる府知事・市長ダブル選挙
結局は維新の党の候補者ふたりがそれぞれ当選した。
直後に任期が満了してすぐ改選という事態を避けて
府知事と市長が入れ替わるトリッキーな選挙だった。
さて、三軒茶屋駅近くに最近できた中華「香辣里」である。
「香辣里」と書いて「シャンラーリー」とまんま音読みで
「湖南菜」とは辛くて酸っぱい中国「湖南料理」のことで
毛沢東がこよなく愛したことから「毛家菜」とも呼ばれる。
1フロア1店舗なのでエレベーターを降りると店である。
真っ白で明るくて天井の配管がむき出しの飾らない内装
神田「味坊」上野「味坊鉄鍋荘」「羊香味坊」「老酒舗」
梁宝璋さん率いる味坊グループにとって5軒目の店である。
大きなテーブルがゆたっりと並んだ64席の結構な大箱
三軒茶屋の土地柄か若くてカジュアルな客層が多そうだ。
写真がきれいで雑誌みたいなメニューブックが常備され
食材や調理法の説明も詳しくて記事を書くのに重宝する。
醤油漬け干し豆腐と香り野菜の和え物
重しをかけて水分を抜いた豆腐を
醤油に漬け色付けした「干豆腐」
辛くなくて意外とさっぱりして
食感と香りを楽しむスターター
手詰め蒸しパンと3種のおつまみ
大豆を発酵させた「腊八豆(ラーバードゥ)」や
インゲン豆の塩漬け「酸豆椒(サンドウジャオ)」
豚三枚肉の腊肉(ラーロウ)などを蒸しパンに乗せ
とにかく初めて聞くような食材のオンパレードだ
ラム肉とクミンの炒め物
何しろ湖南料理のキーワードは
発酵・燻製・スパイス&ハーブ。
卵の皮のスープ餃子
薄焼きの卵で挽肉の餡を包んだ珍しい餃子
時間をかけた豚骨スープをよく染み込ませ
きゅうりの大葉ロースト
きゅうりを紫蘇の葉とともにロースト
香味が爽やかで辛い料理のお口直しに
東北の寒期は長く秋に収穫したものを春までもたせる
生きるために食物の保存方法が発達し種類も実に多い
発酵や燻製など手間をかけて美味しいものを作りだす
「うまみ調味料を使わないって決めたんです」と梁さん
「料理はやっぱり手間をかけないと美味しくならない」
「こどもの頃食べたものにうまみ調味料は入ってない
中国でも日本でも何を美味しいと思うかは同じ」と言う。
燻製豚耳と韮の炒め物
燻香とニラの香味が絶妙に寄り添う
ふたつの食材の見事なマリアージュ
豚ハラミの青唐辛子炒め
豚ハラミだけではらしくない
スパイスがしっかり仕事する
臭魚〜季節の白身魚の香辣蒸し
塩水に漬けて一週間発酵させた魚
唐辛子を加えて蒸し煮にしたもの
「臭魚(チューユゥ)」と呼ばれる
まさに「発酵中華」の真骨頂である
味坊グループの梁さんには小林淳一さんという相棒がいる
初めて梁さんの店を訪れた時にとんでもない衝撃を受けた
日本にまだ紹介されていない中華料理がこんなにあるのか
編集者の小林さんはそう思って自らの無知を大いに恥じた
一方で小林さんは梁さんの料理に懐かしさも感じたと言う
実は小林さんの祖父母はかつて満州で商売をしていたとか
その祖父母に育てられた母の手料理で幼年時代を過ごした
小林さんと梁さんの食の体験は二代前で繋がっていたのだ
香辣里炒飯
お米はジャスミンライス
具材は燻製にした豚肉で
ダイス状に切ったいんげんの漬物と豚肉
太めのビーフンに脂の浮かない豚骨スープ
漬物由来の優しい酸味が食欲をそそる一品
豚スペアリブの太ビーフン
こちらは豚のスペアリブをのせて
もっちり太ビーフンとも相性抜群
見ているだけで口の奥に唾がたまる
デザート三種
マンゴープリン
黒ごまアイス
山芋の冷製スイートポテト
ベリーソースかけ
これだけ食べて飲んで6人で25,002円なり
珍しいものをいただいて勉強になってしかも安い。
湖南地方に古くから伝わる家庭料理を下敷きにして
現地でユニークなメニューを見つければ取り入れる。
中国の地方文化をここまで再現している店は珍しい。
東南アジア各地の料理と融合している雲南料理など
今後も中華料理の新しい世界を見せて行きたいとか
「美味しいものは世界中どこでも美味しい」が自論。
香辣里
050-5596-8314